この記事は、甲斐市行政ではなく、法務局の呆れた作業内容に関するものですが、農地を持ち、水田耕作している方は、今後参考になるでしょうから、読んでおくといいでしょう。

 

 

【2011年、地目変更申請の結果】

 私は、2010年1月に山梨にUターンし、4月から翌年3月まで県立農林高校で情報処理の非常勤講師をしつつ、この年、先祖から引き継いだ6反4瀬の田圃でお米を作ってみました。そして、米作による収益をビジネスの視点で計算してみたところ、まるでお話にならないような計算結果が出たので、「自分で食べる分以外の米作は、止めよう」と思い、2011年3月に、甲府法務局に行き、「田」から「畑」への地目変更の申請をしました。

 ところが、そのとき担当者(名前は憶えていない)に言われたのは、「湛水できないように畦板等を全て外さないと、地目変更は認めない」という驚くべきものでした。

 私の田圃は、緩やかな傾斜地に段々畑状にあるので、地下水脈が多く、取水せずとも、用水路に水が流れるだけで水が入ってしまうような田圃です。故に、畦板を外したりなどしたら、数年後には畦の石積みが崩れ、元の状態に復元することができなくなってしまいます。また道路に接する田圃については、道路との境界面はコンクリートですから、湛水できないようにこれを壊すことなど、現実的にできるわけがありません。馬鹿げているにもほどがあります。

 このようなわけで、地目変更は断念せざるを得ませんでした。

 


【楯無堰水利組合の規約】

 甲斐市八ツ倉地区に農業用水を供給している「楯無堰水利組合」の規約は、「耕作するしないに関わらず、地目が「田」の場合は水利費を徴収する。地目変更が行われた場合であっても、それから5年分の水利費を支払うものとする」となっています。

 

 

【2018年以降、楯無堰水利費の不払い】

 私は、2017年まで、耕作していない田圃を含む全面積分に相当する水利費を全額支払ってきました。

 しかし、「法務局が地目変更を認めない理由」と「楯無堰水利組合が水利費を請求する理由」に、まったく統一性も整合性もないので、2018年からは、自分で耕作する田圃の面積に相当する分のみ水利費を支払い、耕作しない部分の支払いはしないことにしました。

 2018年、2019年、2020年、いずれも、上述してきたような水利費を支払わない理由を文章に記述し、楯無堰水利組合に提出しています。

 しかし、この3年間の不払い分の水利費は、赤紙の督促状として楯無堰水利組合から送られてきています。

 2011年に法務局が地目変更を認めていれば、水利組合の規約に即しても、2016年以降は水利費を払わずに済んだにもかかわらず、2017年まで水利費を全額払ってきたのですから、今後、何度督促状が送られて来ようと、私は一切支払いに応じません。

 楯無堰水利組合が 「水利費不払いの訴訟を起こす」 というのであるなら、私は、「その訴訟は、法務局に対してしてくれ」 と言うことにしています。

 

 

【営農型ソーラーパネルの施工】

 私の田圃がある地域の固定資産税は1反あたり1800円ですが、水利費は6400円です。実に固定資産税の3倍以上です。農作物など何を作っても微々たる収入にしかなりませんから、「田圃を持っていること=穴の開いた財布を持っていること」というのが農家の実情です。

 このような状況なので、たまたま近くの雑種地でソーラーパネルを施工していた業者さんに出会ったのを機に、ウチの田圃に「営農型ソーラーパネル」を施工してもらうことにしました。「固定資産税と水利費という確実なマイナス出費を埋めたいというのが動機」でした。

 ソーラーパネル施工の業者さんに出会ったのは2017年。各種の認可取得が済み、完成したのは2019年5月です。

 

 

【2021年1月25日、甲府法務局(板倉清さん)の対応】

 1月19日に、「ソーラーパネル施工が完了している田圃(4筆)」と「ソーラーパネルが施工されていない田圃(2筆)」の地目変更(田⇒畑)を申請しておきました。

 その案件について、「先ほど現地を確認したけれど、その結果、いずれも、地目変更に応じられない」という連絡を24日に電話で受けたので、その場で「地目変更を認めないという根拠になる法律の条文をコピーして、明日、渡してください」と依頼しておきました。

 

 

●地目に関する法律の条文●

不動産登記法 第68条  次の各号に掲げる地目は、当該各号に定める土地について定めるものとする。この場合には、土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的にわずかな差異の存するときでも、土地全体の状況を観察して定めるものとする。

(1)   田 農耕地で用水を利用して耕作する土地

(2)   畑 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地

・・・・・(中略)・・・・・

(23)雑種地 以上のいずれにも該当しない土地 (p.684)

となっています。

 緑字の部分は、部分ではなく利用目的全体の状況を観察して定める」ということです。

 赤字の部分について、ワサビや水芹やクレソン栽培のことを尋ねたら、板倉さんは「畑」という認識でした。しかし、この条文から厳密に判断すると、ワサビや水芹やクレソンは「田」ということになるでしょう。

 このように、法務局職員であっても”条文の文字通り解釈より、一般常識を優先する判断をしている”のですから、「田」から「畑」への地目変更も、時代状況に合った一般常識的な判断をしてほしいものです。

 一般常識的な判断を、端的に言うなら、『米作なら「田」、米作以外は「畑」』 ということです。

 

 水田に関する時代状況は、高齢化と高額農機具による採算割れで、米作を止める農家が増えています。

 一方、水利組合は、農業用水路維持のためという名目で、耕作するしないに関わらず地目が「田」である場合は水利費を徴収する、としています。

 「田から畑への地目変更を認めない法務局」と「水利組合」は、年金月額3万円程度でカツカツに生活している多くの高齢農民の首を絞めるために共謀しているのではないか?と疑念を持っています。仮に共謀していないとしても、首を絞めているのは事実です。悪辣すぎるでしょう。

 

 

●「ソーラーパネルが施工されていない田圃(2筆)」について●

 地目変更を認めないのは、「畑として使用されている現況が確認できないから」という理由でした。まだ野菜栽培ができる季節ではありませんから当然です。であるなら、ジャガイモの作付けを完了した4月上旬に現況確認してもらえばいいのですから、そのまま3カ月間、保留預かり案件にすればいいだけのことでしょう。 

 ところが、私が「申請取下げ」をしないなら、1月29日に「申請却下」扱いにすると言っていました。

 そもそも現況確認がポイントになるなら、「田」から「畑」への地目変更申請なのですから、1月の申請では現況確認できないことなど自明のことでしょう。なのに申請を受け付けておいて、現況確認できないから、却下する? バカも休み休みにしてください。

 顧客の立場に立って融通を利かせる事より、法務局側の形式を踏襲することの方が重要だということなわけです。「お役所の定型的業務形式を守るために、日付だけ変えて何度でも同じ文章作成をさせ、何度でもお役所に無駄足を運ばせろ」 ということのようです。正に公務員の公務員たる所以というか、真骨頂ですね。民間企業人には思いもつかない、傲慢この上ないお役所のご立派な業務手順です。

 顧客の立場になって、現場確認ができる時まで「保留預かり案件」にする程度の配慮もしないというのであるなら、その理由を説明してください。

 

 

●「ソーラーパネル施工が完了している田圃(4筆)」について●

 「同一の土地について、2地目存在することはないから、地目変更はできない」板倉さんは言いました。

 「営農型ソーラーパネル」は、下で農作物を栽培することを条件に、県からも市からも認可を得ているのですが、板倉さんの言い分では、「ソーラーパネルという構築物があるということは、雑種地という地目になるから、下の農地についてはいかなる地目判断も不可能」というぶっ飛んだ説明でした。

 埒が開かないので、帰りに甲斐市役所内の農業委員会に立ち寄り、高須さんにこの内容を伝えたところ、「耕作放棄地が増えてしまっている現状から、国が、農地活用のために『営農型ソーラーパネル』の施工を推進し、これを認可しているんだから、雑種地ということはありえない。厳密に言うなら、支柱の立っている部分のみを農地以外に転用するという手続きで書類を作成してもらって認可しているのだから、農地です。雑種地ではありません」 と、呆れていました。

 板倉さんは、単に「地目変更を認めない」という目的のために言いがかりをつけているだけでしょう。

 10年前は、不動産登記法 第68条の記述を根拠に、「湛水できないように、畦板を全部外さないと、畑への地目変更を認めない」 とドン引きする理由を言われましたが、現在、担当者が変わっても殆ど変わりはないようです。

 これが法務局の職員・職務内容のあきれた実態です。

 

 

■ 住民票作成代の300円に関して ■

 24日に行われた現地調査の前に住民票を出すよう要請されたので、20日に法務局に提出しに行きましたが、24日の現地調査の結果、地目変更は認めないと言われました。

 住民票については、「現地調査の後、地目変更を認可する」となった段階で、提出を要請すれば、たとえ300円であれ、無駄な出費はせずに済むでしょう。もう少し、一般市民の立場になって手順よく業務を行ってください。

 却下に際して、住民票を私に返さないなら、私は法務局に300円の支払いを要請します。板倉さんが応じないなら、甲府法務局のトップに、いい加減すぎる業務実態を伝えるために、この記述を用紙に印刷し事前に渡したうえで、直談判します。当然でしょう。

 

----- 以上 -----

 

 

 

ついでに、

法務局がどういうことをしている組織なのか、

その実態を知っておくことは大切なことので、

以下のリンクを付けておきます。

 

"裁判所"に関する引用一覧

 

<了>