潮時。
またまた空っぽな愛をはぐくむ。
愛を作った後そそくさと帰るセフレ。
もう遅い時間だったからさ、仕方ないのだけれど。
なんだか虚しい。
久しぶりにがっつり睡眠薬を飲み、人工的な眠りに入ろうとしたとき、
セフレから連絡がきた。
なんでいまさら睡眠薬に手を出したかは自分でも分からない。
ただ、ひとついえるのは、誰からも相手にされない現実から逃避したかったのだ。
わたしは現実から逃避するときに、よく強い睡眠薬を使う。
脳内がフリーズした中、セフレと会った。
愛をはぐくんだ。空っぽの。
かわいいキャラクターのパンツをはいたセフレ。なんだかおかしい。
妻が『これかわいい』と買ってあげたのだろうか。そんないつもは気にもならないことが、
どうしても頭の中にこびりついて、離れない。そうだ。奥さんがいるんだ。
当たり前のこと。わかりきっていること。でもフリーズした脳はそんなことでも
いたくわたしを傷つける。
もうやめようか。やめにしよう。
最近そんな考えがよぎる。長続きしたところでいいことなんてひとつもない。
ただ、自分の心がまた深く傷つくだけなんだし。やめようよ。もう。
そんな考えがよぎっても、手が勝手にパソコンに向き、セフレ宛にメールを
書き出す。『またあいたいよほ』と。
馬鹿みたいだ。なんだかまだうすぼんやりとしか見えないけれど、
確実に前より会いたいという欲求が薄らいでいる。
潮時なのかもしれない。とりあえず、あしたからこちらから連絡を取るのはやめにしよう。
別に強烈に好きな人がいるわけじゃない。セフレとは人寂しい時間を埋めるために
愛を作る。別にそれが今のセフレじゃなくても多分かまわない。
彼しかいないという考えは残念ながらわたしの頭の中にはもうない。
前はあったかもしれない。でも今はもうない。
バレンタインデーのチョコレートに群がる若い女の子を横目に、きらきらと陳列されている
かわいらしいチョコレートを眺めてみる。
セフレにあげようとしている自分に気がついて、苦笑いしながらその場を後にした。
結局さ、恋愛ごっこがしたいだけなんだよ。本当の恋愛はつらいからイヤなんだ。
裏切られ、束縛し、独占欲の塊になる自分をだいぶ恐れているのだ。
数十年生きているのだから、自分の性格、性質、癖なんてよく分かっている。
わたしは恋愛向きじゃない。『ごっこ』で十分なのだ。それ以上の愛はわたしには毒だ。
なんだかつまんない人生歩んでいるなあと、ふとマイナスの感情が頭をよぎった。
明日は元気になっているはず。洋服も買ったし、お化粧して会社へ行こう。
またなにか楽しいことがきっと待っているはずだ。
むりやり自分に言い聞かす、冬の空。