妄想か現実か。
監視されている。
会社でタバコに行くとき、お茶を汲みにいくとき、書類を取るとき。
監視されている。
ネットで何を見たか、何を書いたか、どんなメールが来ているか。
上司は揃いも揃って、わたしの周りを歩く。必ずパソコンをチェックする。
そして、わたしが歩くたびにその方向をチェックする。
何分間席を離れたか、どこにいったか、何を触ったか、
電話でどんな話をしているか・・・・・・きりがない。
視線の先にも監視の目があるので、うつむくこともできない。
手が、視線が、体が震えてくる。それも監視されているので、
隠さなければならない。
帰りの電車でだってそうだ。女子高生がわたしをにらんでいる。
不快なものを見る目でこちらをにらんでいる。わたしが何をした?
隣に座ったおっさんはわたしのメールを見ていた。引っ越すことを
知られてしまった。この先、殺されるかもしれない。
会社の上司陣はわたしをどうやって会社を辞めさせようか、
毎週会議を開いている。今日だって、役員がわたしの所属上司の
ところへきたのは、わたしの行動を監視して、報告するためだ。
ぬいぐるみを育てていかなければならないから、会社を辞めることは
できない。
しかし、会社はわたしを辞めさせようとしている。どうしたらいい??
同僚たちはわたしが苦しむのを笑ってみている。もっと苦しめと言っている。
ぬいぐるみを抱きしめて、喫煙室から飛び降りてやろうか。
喜ぶだろう。歓喜の祝いをするだろう。パーティーだってあるかもしれない。
上司陣だって、辞めさせたい人間が死ぬのだから、臨時給与を
出すかもしれない。いや、出すだろう。
ついに追い詰められてしまった。わたしを信じてくれているのは、
ぬいぐるみだけだ。
わたしをかわいそうだと思うのは、両親と兄弟だけだ。
親族を悲しませてはいけないから、勝手に死ぬことも出来ない。
出来ない、出来ない、出来ない。
出来ないことばかり。
周りと連絡を取ってはいけない。動いてはいけない。
死んではいけない。
どうしたらいいのだろう。途方に暮れる。