今日、引退と社台スタリオンステーションでの種牡馬入りが報じられた、アイルランド調教馬ポエティックフレア。欧州から日本に輸入された種牡馬では、近年ではハービンジャーが成功を収めた一方で、ワークフォースのように期待されたほどの成績を残せていない馬も。ラムタラ、ピルサドスキーなどの大失敗例もあります。ポエティックフレアは種牡馬として日本で成功できるのでしょうか。
 
1.経歴
ポエティックフレアはアイルランド生産、アイルランド調教の競走馬。父父ニューアプローチや父ドーンアプローチなども手がけたJ.ボルジャー師によって生産、調教された馬で、馬主もボルジャー夫人。
2歳3月、芝1000mのデビュー戦を勝利。その後休養を挟んで10月にG1デューハーストステークスに出走するも、セントマークスバシリカに遠く及ばず10着。その後連闘でGⅢキラヴランステークスを制し、2歳シーズンを終えた。
2021年は4月の愛2000ギニートライアルステークスから始動し、ここを快勝。5月の英2000ギニーでマスターオブザシーズとの競り合いを制し、GⅠ初制覇となった。道悪になった仏2000ギニーでは進路を見つけられず6着に敗れ、再びセントマークスバシリカの後塵を拝する。地元に戻った愛2000ギニーでも道悪になり、同厩舎のマックスウィニーの逃げ切りを許して連敗。続くセントジェームズパレスステークスでは久しぶりの良馬場になり、直線で早めに抜け出すと差を広げ、4 1/4馬身差をつけて圧勝してGⅠ2勝目となった。
古馬との初対戦となった7月のサセックスステークスでは前半掛かってしまい、コロネーションステークスを制していた3歳牝馬のアルコールフリーに敗れて2着。続くジャックルマロワ賞では最強マイラーであるパレスピアとの対戦となり、好勝負を演じたもののクビ差競り負けて2着。9月には2000mのアイリッシュチャンピオンステークスに挑戦し、気性の悪いところを見せながらもセントマークスバシリカ、タルナワと差のない3着になり、そのまま引退となった。
 
2.特徴
マイルGⅠを2勝しているようにスピードのある馬で、道悪も対応してはいるが良馬場向き。2021年は5か月で8走しているタフな馬だが、やや気性に難がある。それでもパレスピア、セントマークスバシリカ、タルナワらと好勝負を演じてきた馬であり、能力はかなり高いとみていいだろう。
 
3.血統評価&種牡馬としての可能性
父はマイル以下の距離のGⅠ4勝ドーンアプローチ、母父はマイル以下の距離のGⅠ7勝のロックオブジブラルタル、母母父は短距離馬として活躍し、スピードを補完するロイヤルアカデミーⅡという短距離血統。日本の高速馬場に対応するスピードは持ち合わせている。父父ニューアプローチの日本での少ない産駒からベストアプローチ、ダーリントンホールという重賞級の馬が出ていることからも、日本の馬場への適性はありそう。
また同じ牝系のテオフィロは香港の王道路線で活躍し続けたエグザルタントや、日本の産駒も重賞馬テリトーリアルを輩出しており、牝系としても高速馬場適性はある。テオフィロも短距離で活躍した馬だがカドラン賞の勝ち馬やメルボルンカップの勝ち馬も輩出しているので、ポエティックフレアも日本の馬場では中長距離での活躍が期待できそう。
産駒の傾向としては3歳春から長く活躍できる、芝の1800m~2500mくらいに適性のある馬が多く輩出されると予想。ステイゴールドが死亡し、ロードカナロアやキズナなどの早熟、マイルがベストの種牡馬の産駒が増えて2400m以上の中長距離路線のレベル低下が囁かれている中で、古馬中長距離での活躍ができるのは武器になる。ノーザンダンサーの血が濃いことはやや不安だが、日本には少ない血統であることから繁殖牝馬の数は確保できるとみられるので、サンデーサイレンス系繁殖との相性次第ではリーディング上位も期待できる。