2018最優秀短距離馬・ファインニードルの引退。ターフを駆けるのも電撃でしたが、去る時にも電撃でした。
でも今年は国内で無敗の重賞4勝。何でそんな早い引退を…理由は二つほど考えられます。
①繁殖入り後が重要な海外競馬
今後はダーレー・ジャパンスタリオンコンプレックスにて種牡馬入り。競走馬時代の馬主であるゴドルフィングループのいわば「日本支社」と言える牧場がダーレージャパンで、そのまま種牡馬入りとなります。ゴドルフィンは世界中に競走馬を持っていますが、世界の競馬は日本ほど賞金が高くありません。日本馬のジェニアルは今年プリメシドールを制しましたが、勝っても彼は500万クラスのままでした。海外の賞金は重賞でも日本の条件戦レベルで、わざわざキャリアを長くするよりも繁殖入りさせてそちらで金を稼ぐ、というのが海外流の考え方です。また、香港競馬に2度遠征し、2戦とも敗退しています。これ以上負けてキャリアに傷を付けるよりも、国内の芝では本格化以降負けなし、という方が種牡馬価値としても優秀です。
②血統面
また、当馬は父アドマイヤムーンの母の父がサンデーサイレンスですから、サンデーサイレンス後継種牡馬を父に持つ繁殖牝馬に付ければサンデーサイレンスの4×3(奇跡の血量)を作ることができます。同じく4×3を作れるエピファネイアが2018年種付け頭数220頭と大人気ですから、今度は母型を含めて生粋の短距離馬ということで人気が出そうです。また、母父、母母父の産駒はヨーロッパの2歳戦を中心に活躍する早熟性があることから、仕上がりも早く種牡馬として人気になる要素が揃っています。アドマイヤムーン産駒のG1馬で種牡馬になっている馬はまだいませんから、この馬が後継種牡馬筆頭になります。エンドスウィープ産駒はスウェプトオーヴァーボードにサウスヴィグラスと日本で成功例が多い分、今年のシーズンから種付け希望は多いでしょう。
①と②を鑑みた上で、繁殖入りさせるメリットが大変大きいゆえの決断だと思われます。何にせよ絶対王者がいなくなった分、またスプリント路線が面白くなりました。シルバーコレクター・明け4歳世代のラブカンプーの逆襲か、はたまた古豪復活か。楽しみが増えたところで、今回はおしまいです。読んでいただきありがとうございました!