穴水で迎えた朝は 寒かった
能登半島の寒さは 半端ない
この 寒さの中暮らしていた祖母
いつも一番に起きて 石炭ストーブの火を起こしてくれてた
寒がりだったから 入院する日まで タワシを抱っこして 寝てた
伯母が 朝ごはん できたよ と 車に声をかけに来てくれた
まわりが 明るいか 暗いかで こんなに違う
ゆうべ 暗闇は 恐怖だった
菊ちゃんの お散歩とちーちー ご飯を済ませて 朝食をいただきに 家へ上がる
伯父には すぐ 謝らなくっちゃ
ゆうべ さむかったでしょー と 伯母が言う
寒かったことより・・・
実はね 裏口のカギ閉めて 車で寝てたら 伯父ちゃん 締め出しちゃったみたいで
えーーーーーー
そんなこと あったん?
わたし おらんと 飲みに出かけてぇ
おらん時にかぎって そういうこと あるんよね
伯母は あはははは と 大笑い
伯父が 降りてきた
あやまらなくっちゃ!
ゆうべは 大変ご迷惑おかけして 申し訳ありませんでした!
正座
畳に おでこ くっつけて 平謝り
う うん いや 帰ってきたら カギかかってるよってぇ
車で寝てるから おこして 開けてもらおう思ったら
警察来よって なにしてるか 聞かれてぇ
親戚が車で寝てるから 家のカギ借りよう思って たたいた 言ったら
あんた どこの人か 言うから
わしゃ ここの 主だ いうてぇ
伯父も警察に声かけられて 驚いたらしい
あんた わたし おらんと 飲み行ったりするから いつも そうしとるん?
自業自得だわ!
わはははは と 伯母は また 笑った
照れたような 困ったような 伯父
あの 警察・・・ 私 ひゃくとおばん したんです・・・・
ん? なに? あんたが ひゃくとうばん しよったの?
はいー 伯父さん 家の中で寝てると思ったんで
酔っぱらいが 北海道のナンバーを めずらしがって 来たのかと思って
なに あの おまわりさん うまいこと
パトロールしてたら あんたが 車のまわりまわっとった 言うて 呼ばれた いわんかったわー
うまいこと 言うな パトロールやって
ぇ そうだったんですか?
おまわりさん ありがとう 気を使ってくれてるのね
それを聞いて 伯母ちゃん 血相変えた
いや! わたし 交番に 謝りに 行ってくるわ―
ご ごめんなさい 伯母ちゃん
そうですよね 駅前旅館だもの
交番のおまわりさんも
この町で 伯母ちゃん知らない人いないものねー
そうか そうやな ひとりで 車に寝泊まりするなら
それぐらい 用心しといて 丁度やな
伯父が 言ってくれて