
父が脳梗塞で入院しました。
父と母は若い頃に離婚しているのですが、
家が近いこともあり、会う機会はちょくちょくあります。
ここ数年の父は病気の百貨店かというくらい、
とにかく不健康です。
糖尿病で白内障になったり、足が壊死して切断したり。
かと思うと、体のあちこちにガンが発症して切除したり、
軽い脳梗塞で緊急処置をしたり、などなど。
医者からは酒を辞めるように言われていたものの、
ちょっと体調が回復するとまた普通に呑んでしまいます。
昔からそうです。何があろうと酒を呑み続けていて、
若い頃は酔うと暴れていました。
それがきっかけになって母と離婚しましたし、
会社の出世の道も閉ざされてしまいましたし、
僕も父のことが嫌いで嫌いで仕方がありませんでした。
酒によって人生を棒に振った部分がたくさんあったと思います。
父の酒の呑み方はやはり心身によくないと思って、
父の母(僕の祖母)や僕の母、妹、それから今の父の奥さん、
そして僕、父の会社の仲間など、
たくさんの人たちが昔から酒を辞めるように言いましたが、
一向に辞める気配はありません。
脳梗塞は今回4回目(!)の発症でしたが、
症状はこれまでで一番重く、足が動かなくなってしまい、
ひとりでまったく動けなくなりました。
困った父から電話がかかってきて、
「明日病院に行くから、肩を貸してくれ」
と、呂律が回らない状態で言われたので、
「今すぐ病院に行きなさい!」と、僕は告げました。
今の奥さんに代わってもらって話したら、
奥さんも同じように必死に説得したものの、
頑なに拒否するだけだったらしいのです。
僕が説得しても「明日行くから大丈夫だ」と言うだけ。
なので、すぐに父の家に駆けつけて、
「いい加減にしろ!」と怒鳴りつけました。
脳梗塞は症状が出たらすぐに病院で対処しないと、
取り返しがつかなくなることを、
母の脳梗塞を通じて知っていたので、
とにかくすぐに病院に行かせなくてはと思ったのです。
病院への支度を今の奥さんがする傍らで、
僕は父に淡々と言いました。
「今回退院したら、もう、酒は辞めた方がいいから。
今までの人生であなたのことをたくさんの人が心配しているのに、
どうしてあなたはその愛情が受け取れないの?」
父は聞こえないふりをして、
「あ、そろそろタクシー、来たんじゃないか?」
みたいな感じではぐらかしていましたが、
かなり心に響いたと思います。
昔から父は、周りから愛されているにもかかわらず、
自分は愛されていないと思い込んでいて、
その心の隙間をお酒で必死に埋めようとしているのです。
さまざまな経験やセラピーの勉強をしているうちに、
この年齢になってやっと見えてきました。
昔は単に、お酒で豹変したり暴力を振るう父が嫌で、
お酒を辞めるように説得していました。
でも、今回かけた言葉はまったく違っていました。
「みんな、どんなにあなたへ愛情を注いでも、
まったく受け取ろうとしないことが悲しいんだよ。
僕もそうだし、母も××(妹の名前)もそうだし。
○○さん(今の奥さんの名前)もそうでしょ?」
と、今の奥さんを見たら、黙って深くうなづいていました。
こんなに周りから愛情を注がれているのに、
「自分は愛されていない、必要とされていない」
みたいな思い込みが辞められない父。
そこに終止符を打たない限り、また酒を呑み続けるでしょう。
バケツに水をいくら注いでも穴が開いていて、
それを塞がない限りは、水は一向に溜まることはないわけで。
周りに愛されていること。
すでに愛がそこに存在していること。
それを受け取れていなかったり、承認できていない人が
意外と多いように思えます。
そして、愛されていないと言い続けて、
自分を粗末に扱ってしまう。
若い頃の僕もそんな感じでしたが、
僕はバケツの穴に気づいて、しっかりと塞ぎました。
大小に関わらず、しっかりと愛を受け取ることを決意したのです。
父が退院してきたら、
改めてきちんと話してみようと思っています。
お酒を辞めさせることが根本の解決なんかじゃありません。
「愛を受け取れ、この野郎!」
ホント、このひと言にすべてが集約していると思うのです。
それにしても、父への僕の接し方がこんなに変わるなんて、
我ながら驚いています。成長の証でしょうかね。
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