長府の壇具川は、不思議なネーミングです。
かつて、神功皇后が新羅出兵の際、この地に祭壇を築いてお祈りをしたといいます。
その後、祭事に使った道具を川に流したことから、
壇具川と名付けられたそうです。
私が幼少の頃は、まだ綺麗な鯉や鴨は放たれてはいませんでした。
昭和のある夏の日、兄と従兄姉が壇具川に行きバケツに、何匹もフナをつかまえてきたことがありました。
結局は、どうしようもなくて夕方又、川へフナを逃しに行っていましたが・・・。
でも、そのバケツの中で目をひいたのは、黒と赤の2匹の金魚でした。
私は幼かったので、壇具川には金魚がいるんだ、と思い込みましたが、
叔父さんが
「忌宮さんの数方庭のお祭りで、金魚すくいした子が飼えなくて、
壇具川に放しちょってやろう。」
と言っていました。
それで従兄姉は、金魚がかわいそうだと
自宅の水槽にその2匹の金魚を入れて、大切に飼っていました。
長府の、のどかな昭和の一コマです。
今は、鯉がいるので、壇具川へ入ることはできませんが、
今も子どもたちにとって、命の輝きを感じられる素敵な場所です。
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馬関でまっちょるそ / 著者
ギャラリー 玄禎(げんてい)
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