5月診察日。
前回お会いできなかった事もあり、主治医に話したいことが溜まっていた。
4月下旬の診察は、主治医の急用により代理の医師だったからだ。
まず、血液検査の結果を尋ねた。
”塩” は前回より減少したが、それ程低いわけではないと主治医が言う。
聞いてもらいたかった歩行と失語の悪化について、主治医に話した。
トイレの失敗とドアの前での脱力。手摺があっても介助が必要になったこと。
階段は、私が片足ずつ一段一段、持ち上げている。浴槽も。
手摺を探して、何も掴む物がない頭上を右手がさまよっていることが増えた。
視野が狭いとはいっても、色々不安になる。
主治医は最近の様子をPCのカルテで確認すると
『今からアバスチンがあるので翌日MRIを撮りましょう』
と言ってくれた。
言葉も減ってきた。失語は、失語症訓練アプリもできなくなっている。
目の前に薬を並べて服薬を促しても『え?どこ?なに?』と言う夫。【薬】が理解できない。
・午前3時に夫が言った『食べたい』は【トイレに行きたい】だ。
・『何だっけ?どこだっけ?お前のいいやつ』と聞くのは【私の誕生日】。
外来化学療法室の看護師さんは『今日、動きが悪いね』と気づいてくれた。
担当が決まっているわけではないのに分かってくれる。
私の思い違いではないと確認でき、ありがたい。
【翌日のMRI】
腫瘍に大きな変化はなかった。だから治療も今までどおり。
ただ、このまま歩行が悪化していくことの不安が大きい・・・
主治医は言う。
『ご主人も奥さんも理解されているので。そろそろ時期と言えば時期なので、
少しずつ準備をされていった方がいいでしょうね』
ケアマネさんに電話をした。
ポータブルトイレと階段についての相談。
夫が今後も外出のために階段を無事に下りられることを願っているが、皆何が一番よいのか悩んでいる。
夫が娘に言った。
『おれ、はやいかもしれない』
こういう言葉は、どうして分かりやすく言えるのだろう・・・
夫も私も眠れない夜。何度か夫をトイレに連れて行った。
夫は午前3時に睡眠薬を飲み、明日から毎日欲しいと言った。
『トイレ、トイレ、トイレ・・・』
その後40分間、ずっと呟いていた。