俳優の田村正和が4月3日、心不全で77歳で亡くなっていたそうだ。近年、年齢的なものもあり、ご自分では引退したと考えているようだったが、非常に残念。

 

彼は、コメディチックなものもやって成功させたが、やはり「神秘的な永遠の二枚目」を貫いた唯一の大スターのような気がする。私生活も、ほとんど公開せずに控室でも「田村正和」を貫き通したと言われる。

 

往年の大スター、坂東妻三郎の三男として10代でデビュー。四人兄弟のうち、次男だけが芸能界に入らず、田村三兄弟と呼ばれたが、坂東妻三郎こと坂妻には長男の田村高広が最も似ていた。

 

私は、田村正和というと時代劇の眠狂四郎、現代劇では「ニューヨーク恋物語」が印象に残っているが、一般には「古畑任三郎」辺りの印象が一番強いかもしれない。

 

本人は「自分は映画では成功しなかったテレビ俳優」と自虐的に話していたようだが今はともかく、昔はアメリカでも日本でもテレビ俳優は映画俳優よりも一段低くみられていた。田村自身、世代的にも、そういった思いがあったのだろう。それでも舞台もやり脇役もやったが長く二枚目俳優一筋に主役を貫いた稀有な俳優と感じる。合掌。