企画書の作り方 | 財務・経理の実務

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マーケティングは重要だ。

新しい企画書の決裁を出すときに、今回はこのような企画になっています、中身は・・・とつらつらと説明が稟議書に書いてあります。または、パワーポイントでまとめた企画書が添付されていたりします。

このような企画書を見るたびに思う事があります。

それは、なぜこの売上高になるかといった根拠があいまいになっているということ。なんか良い企画っぽいから、このぐらい売上たつだろうとか、前と同じようなモデルだからこのぐらい売上がたつだろうとか・・・あてになりません。

時代は、常に変化をしていますから「前はこうだったから」なんて全く門前払いであり、企画というレベルにも達していないのではないかとさえ思います。

苦節何十年の会社の経営者の方が直感で「うん、これはいけそうだ」と思う事がヒットすることは多々ありますから、完全否定はしません。こういった直感が時には大切なのかもしれません。

しかし、直感ではそれが本当にあたったかといった「計測」ができないのです。計測するためには、やはり予算が必要になります。当初の市場環境を●●と予想していたけど、△△が原因で思ったほど伸びなかったとか、集客力のあるホームページを作って広告収入を得ようとした場合、予想会員数を過去の経験値や他社などの趨勢状況を見ながら、このモデルの場合、これだけの会員数になるといったことや、このコンテンツを増やせばPVがこれだけ伸びるなど、何らかの根拠があった上で数字を作り、結果と比較して、反省・改善をし、次のステップにつなげるといった考えが必要です。

上記の例で、コンテンツを増やせばPVが伸びるといっていますが、このコンテンツを増やせばというのは根拠ではありません。そしたら、なぜコンテンツを増やしたらPVが増えるのかといったことを示す必要があります。そこまで掘り下げないと根拠とは言いません。

仮説力

DeNAの南場社長が、決算発表をしていましたが、その中で「広告収入の1年先はわからない。先1か月くらいならわかるけど」、と仰っていました。

広告業界に身を置く、しかも社長でさえ先がわからない状況では、仮説を立てるしかありません。仮説を立て、結果と比較し、判断が正しいか間違っていたのかを確認し、次の仮説を立てる時に過去の仮説を踏まえる。こういった流れが出来上がると段々と企画力もついてくるのではないかと思います。最近はこの「仮説力」に関する書籍も多数出版されていますね。仮説力を高める事が大事なんです。

企画書の損益推移

企画書に損益推移などが、載っていることがあります。
しかし、だいたいこういった損益推移はあてにならないというか精度が低いと思うのです。それはやはりそこに根拠がないからです。根拠がないから決裁をする側からみると信憑性がないんです。

新しい企画書を作り「うん、これはいける!」と自分を信じて、部長の所に駆け寄って、決裁をもらおうとしても、根拠がその中に埋め込まれていないと、「なんで、これをいけると思ったの?」と門前払いを受けてしまいます。

決裁を見る側の立場に立って、企画書を作ることも心掛けると一歩上の企画書が出来上がると思います。

例えば、企画書の損益推移に、会員数またはPV数の指標と売上高の指標が比例して伸びているといったものを見ると、「比例しないだろ」と直感でも思います。それに、そこに数字しか載っていないとその数字を信じる根拠がないですから、信憑性がないものとなってしまいます。

「なんで、これでいけるの?」といった問いかけに、「熱意です!」「やる気があります!」では全く意味がありません。やる気があるのはわかったけど、やる気だけで世の中うまくはいかないものです。空回りしてしまいます。

マーケティング理論を鵜呑みにするな!

企画を作る上でマーケティングが非常に大切なものであるということは周知の事です。
しかし、よくあるマーケティング理論を鵜呑みにしてしまうのも、あまりお勧めできません。その理由は、例えばプロダクトポートフォリオ(いわゆるPPM理論)ですが、市場成長力が低いが市場シェアが高いものを「金のなる木」と言い、金のなる木に属している製品やサービスについては、これ以上広告宣伝費をかけずに、現状維持を保つといったことが良くいわれますが、経営者に言わせてみれば、「なんで?」となります。
そんなことない場合だってありますから。広告宣伝費をかけた方が良いときだってあるし、変化が必要なことだってあります。
だから、マーケティングは大切ですが、マーケティング理論を鵜呑みにしてはいけないのです。理論ではなく、やはり口コミや市場の消費者の声というのがマーケティングの基礎ではないかと思います。市場・消費者が欲しているものをいかにうまく聞き出すか、作り出すかがカギです。
今は飽食の時代ですから、ものがあふれています。その中で新しいものを作ることで消費者が食いつくかもしれませんし、既存の商品やサービスを分解または結合して何か別のものがヒットすることだってあります。
さらに、この不況で消費者は価格にも敏感になっていますので、安くて生活に必要なものというのは確実に売れます。しかし、その分競争も激しい。ニッチな商品だと、競争は激しくないが、消費者の反応も今一つだと先行投資が水の泡になってしまう。

最後に

なかなか難しい課題ですが、企画書を書くときは、現在の市場をきちんとマーケティングをし、消費者が望んでいるものを作っていくことが大事です。社内にいる人間が、必要と思うことが必ずしも消費者が望んでいるものとは限りませんから。外向きなマーケティングデータを揃えた上で企画書を測量し数値化し後で、実績と比較できるように損益推移などを付ける、といったことが大切です。


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