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僕には、5歳年上の兄がいる。

兄はとにかく運動神経が抜群で、サッカー・野球・バスケと、どんなスポーツでもいつもチームの中心的な存在だった。
それだけじゃない。勉強もゲームも僕よりうまくて、何をやっても勝負すれば負けてばかりだった。
 

そんな僕は、負けるたびにこう叫んでいた。

「お兄ちゃんずるい!もう一回!もう一回!!」

すると兄はいつも笑いながら、

「わかったよ!もう一回ね!」

と応じてくれた。


負けず嫌いだった僕は、何度も何度も兄に勝負を挑むようになっていった。
 

兄に勝ちたい!どうにかして追いつきたい!

そんな思いから、当時地域のクラブチームでサブ監督を務めていた父の誘いで、
兄が参加している練習を観察するようになった。



サッカーでも野球でも、年上の人たちの動きはとにかく速くて、最初はまったくついていけなかった。
でも、見ているうちに少しずつコツがわかってきた。

こういうタイミングで、こう動くんだな

そう理解できるようになってきた頃、ただ見ているだけでは物足りなくなっていた僕に、
ある日、兄のチームの監督が声をかけてきた。

「おい、そこの君!Kenの弟か? よかったら一緒に準備運動から参加してみないか?」


 

まさかの展開に驚いたけど、「準備運動ならできるかも」と思い、その日から一緒に練習に混ざることになった。

年上の選手たちと一緒にやることで、僕はどんどん新しい感覚を吸収し、自分の中に落とし込んでいった。
気づけば、一部の選手たちとは肩を並べられるようになっていた。



でも、兄との実力差は、なかなか縮まらなかった....
 

もっともっと上手くなって、みんなの中心的存在になりたい!
 

そんな思いを胸に、僕は年上たちと必死に練習し、自分の年齢のグループに戻って試合に出ると、
明らかに実力がついてきたのを感じた!
試合でも活躍できるようになり、少しずつ「認められる喜び」も味わうようになった。

そして僕は、こう思うようになった。


実力があれば、人から認められる。だから俺がNo.1にならなきゃ!
 

そうしていつの間にか、僕の中にはエゴが生まれはじめていた!

次回のお話へ続く⇩