前回の記事の中で自己血などという言葉が出てきておりますが、

 少し解説を加えたいと思います。

 骨髄移植の際、当然の事ながら血液の量が減りますので、

 あらかじめ手術前に自分の血を抜き取っておいて手術中に輸血します。

 その血を取る過程を自己血採血といいます。

 量は採取する骨髄量によって変わりますが、

 怪獣父の場合1リットル以上の骨髄を採取する予定でしたので自己血の採血は800ml

 通常の献血が1回400mlですから2回分と言うことになります。

 無論、1回で取ることはありません。手術日から逆算して間隔を空けて2回に分けて取ります。

 ただ、1ヶ月くらいの間でこれほど血液を取ることは通常ありませんので、

 必ず採取前に血液検査を行い異常ないかを確認します。


 今回、健康診断で行った血液検査は麻酔へのショックやアレルギーの有無を調べることと、

 自己血の採血が出来るかを確認するためのものです。

 他の地域では手術前健康診断と第1回の自己血採血を別の日にすることもあるようですが、

 怪獣父の場合は健康診断と1回自己血採血は同じ日に行う予定でおりました。


 あと、麻酔についてですが、麻酔は全身麻酔で行います。

 最初のほうで血縁者間での死亡例があったことに触れていましたが、

 これらはいずれも局部麻酔でも手術中でのものであり、

 今田さんの話によると全身麻酔のほうが不測の事態に対して対処がとりやすいため、と

 教えてくれました。

 まぁ、もちろんそんなことにならないことを祈るのみなんですけどね。

 なので、健康診断の際には麻酔医の診察も受けます。

 血液検査の結果といくつかの質問に答えて終了ですが、

 麻酔医としては健康な人に全身麻酔をかけることには抵抗があると話してくれました。

 今まで麻酔と縁の無かった人に麻酔をかけるんですから、

 事前に調べているとはいえ当日どんなショック症状が出るか分かりません。

 なので、やはり抵抗があるというのは率直な感想なんだろうと感じました。


 結局、この日の検査では異常が無かったので、

 無事健康診断に引き続き自己血の採血を行います。

 当然、献血の時に使うような機械が登場するのだろうと思っていたら、

 看護士さんが持ってきたのはハカリ!

 怪獣父が横になって血を抜いている間、

 看護士の方は輸血用パックを手でグニグニ押しながら、

 ハカリに何度も乗せて血液量を計測していました。


 全部の過程が終わったのが午後2時くらい、

 病院に来たのが朝9時だから5時間くらい病院にいたことになります。

 具合も悪くないし腹も立つ元気も無いけど、とりあえずお腹がすいた!

 今田さんは何度も何度も謝っておりましたが、

 別に今田さんが悪いわけでもないのでそんなに謝らなくても良いんですけどね。

 とりあえず、第2回の自己血採血の日を決めてこの日は帰宅します。

 帰る途中で食べたラーメンとライスがおいしかったなぁ。

 

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