第4章 待ちくたびれたぞ健康診断


 最終同意を終えてから間もなく健康診断を行うことになった。

 健康診断からは今までよりもちょっと離れた病院で行うことになる。

 予約の時間前に病院に着くと今田さんが既に到着しており怪獣父を待っていた。


 病院はかなり込み合っており、事前に少し待ってもらうと告げられた。

 無論、健康体の怪獣父的には待つことに問題はなく、今田さんと色々話をしながら

 待つことにした。

 

 ドナー登録して、候補となるのは登録者の3割程度であることや、

 提供を受ける側は、手術に要する費用のほとんどが保険が利かないこと、

 従って、移植を受けるのもお金が無いと出来ないのだ。

 昔、ジョンQと言う映画があったが、

 あれは何も外国に限った話では無いのだと感じた。

 ちなみに提供者の方は金銭負担は一切無い。

 病院に係る費用や交通費、入院費にいたるまで、提供を受ける側が負担してくれる。

 よく、体験談で個室に入るか迷った、という人がいるが、

 それは病気では無い自分が個室を占領することへの抵抗感もあると思うが、

 提供を受ける側の負担を少なくしてあげたいと言う気持ちもあるだろう。


 今回、怪獣父は個室を希望したが、もし逆の立場なら個室を使ってもらうことへの

 抵抗や金銭的な負担に関しては問題にすることは無いと思ったからである。

 ただ、これは人によってかなり感情が違うと思われるので、

 何が良くて何が悪いかは誰も判断できないと思う。


 今田さんの話では最近登録者は増えてきて、

 皮肉にも芸能人の方が血液由来の病気であったり、

 亡くなったりすると登録者が増えるそうで、

 白血病で無くなった芸能人の方々は最後に大きな役割を果たしているのだと感じた。

 また、肉親がいない方が登録をすることも多いらしく、

 自分の血をどこかに残したいと言う思いは強いのかもしれない。


 かなりの時間を今田さんと話していたが、一向に呼ばれる気配は無く、

 時間だけが刻々と過ぎていく。

 骨髄ドナーは優先的に見てもらえるらしい話を聞いていた怪獣父も、

 あまりの時間経過に腹は立たないが少々疲れてしまった。


 2時間ぐらいが過ぎた頃にようやく呼ばれて、先生とご対面。

 採取する骨髄液の量や麻酔の方法、問診や質問などがあり、

 血液の検査を再度することになる。

 この検査で麻酔に対するショックや異常が無いかを判断し、

 問題が無ければ、その日のうちに自己血の採取となる。


 血液の検査が出るまで、麻酔量を決めるために肺活量の検査などを済ませて、

 再び呼ばれるのを待合室で今田さんと待つ。

 もし血糖値が低いとしたら、それは病院で待ちすぎたせいだろう、などと考えながら、

 異常が無くて、今日で第1回目の自己血が採取できることを願うばかりである。


 骨髄ドナーになってみた!⑨へ つづく