土曜の朝は、ウルトラマンアーク!!
夏場は土曜の出勤が多いため、どうしても後から観ることになりますが、今回も面白かったです。
第2話「伝説は森の中に」
・必然性のある対立と、一方的に敵視しないスタンス。
今回は、いわゆる「鎮守の森」に眠っていた怪獣を、マンション建設を目的とする開発のために目覚めさせてしまうという過程で怪獣被害が起こる。これは初代ウルトラマンから今まででよく見られたケースで、怪獣たちが「行き過ぎた文明に対する警鐘」的な役割で登場してくる。
これまでのウルトラシリーズの、特に昭和~平成の前の方のシリーズだと、開発に携わる人たちが、自然への配慮がない、極めて粗暴な人々のように描かれている。主人公が属する防衛チームであったり、子どもたちであったりが制止するのも聞かず、工事を強行して結果言わんこっちゃない……そんでウルトラマンに怪獣が倒されたり別の場所に送られたり元の場に眠らされたりした後で反省する、みたいな、そういう展開が多かった。
今回の話では、工事の責任者みたいな人が、話の中心となる男の子のお父さん。この人も話の進行上は工事を断行しようとする。けど――なぜそこまで頑なに工事を進めるかと言えば、そもそも怪獣によって家を失う人が続出しているからで、つまり長期にわたって怪獣が出現し、被災しているという「過程」が世界観の中にちゃんとあるからこその理由付けになっている。これによって、お父さんが古代怪獣の伝説を知っており、何なら自分の子どもにそれを受け継がせていながらも、工事を進めなくてはいけない「葛藤」が分かって、これまでのシリーズのような一方的な開発による自然破壊の加害者とは捉えることができないようになっている。これは見事なブラッシュアップです。ここまでの2話を通して、アークの世界はどこか牧歌的と言うか優しい。これも昭和ウルトラシリーズの、特にタロウの世界観を思わせるところがあって、さらには上記のような細かい気配りにより、より納得できる形での人間ドラマのぬくもりが感じられるようで。短い一幕でしたが、非常に重要な描写であったように思います。
・コミカルだけど、ちゃんと強い! 古代怪獣リオドの魅力。
古代怪獣リオド登場。胴体はブラックキングを彷彿とさせ、頭部は帰マンの忍者怪獣サータンをイメージさせる、象のような長鼻。首回りの派手な装飾は、タロウの怪獣に近いものを感じるなど、非常にユニークな怪獣。前回のシャゴンとは違って、今回はちゃんと怪獣然としたデザインです。僕は忍者怪獣サータンのような長っ鼻怪獣は怪獣はあんまり好みじゃないんですが、このリオドは、長い鼻が最大の主張というわけではなく、それ以外の首回りの装飾が目立つから、総体的に見て、好きな怪獣でした。見る角度によって、カッコよさがぐんと上がるのも、昭和ウルトラ怪獣に顕著だった、デザインの「奥行き」を感じて良かったですね。
このリオド、鼻からの吸引と、側頭部の発火性黒泥、高圧電流光線を放つ角と、特殊能力に恵まれている一方、フィジカル的な強さも相当。怖さを感じるデザインではないけど、ものすごく強い。2話目にしてアークアイソードを耐え抜く猛者が現れるとは、今後の強さのインフレが心配になってしまうほど。アークも相当追い込まれていました。
もちろん、強さを主張するだけじゃなくて、コミカルなシーンがあるのも、アークの怪獣の魅力。アークが大木を使ってリオドにくしゃみをさせるなど、戦いの中でも笑える一幕を入れて、全体がシリアスにならないようにする、その辺のバランス感覚が見事。結果、面白いデザイン、時にカッコよく見える画角、多彩な特殊能力に驚異的なフィジカル、それでいて親しみやすいという、良いところの全部乗っけみたいな怪獣が出てきた。僕は前回のウルトラマンブレーザーを代表する怪獣は、第一話に登場したバザンガだと思っているのですが、今回のウルトラマンアークで現行(2体しか出てないけど)突出しているのは、やっぱりこのリオドである気がしますね。それくらい好きです。ブラックキングのソフビを改造して、作ってみようかな。
・今回はどう魅せる? 毎回が楽しみな戦闘シーン。
前回の3分18秒40にわたる疑似長回しは、本当に見ごたえがありました。今回は、どんな「画」で戦闘を見せてくれるのかが楽しみでしたが、まさか……「主観視点」を持ってくるとは……。しかも何が凄いって、ぶつかりあっている両者の視点が連続して展開する。ウルトラシリーズで、怪獣目線は初めて? ウルトラマンの目線、とりわけ、あのウルトラマンの目の「抜き穴」からの目線は、ウルトラセブンの「アンドロイド0指令」が先鞭を付けましたね。あれを思い出して、懐かしかったです。
今回の戦闘は、とにかくリオドが強すぎて、先が読めないのが面白かったですね。突き飛ばされて地面をごろごろ転がっていくのとかは、ウルトラマンエースでよくある、横スクロールの画で、これもまた懐かしい。展開的な部分では、前回の切り札的に登場したアークアイソードが出たから、「あ、これで終わりか」と思っていたら、リオドにすんなり攻略されてしまう。この時のリオドの受けアクションも秀逸で、避ける攻撃と受ける攻撃を的確に見分けて、カウンターを食らわせている。そこからSKIPのサポートが入ってリオドを弱体化させ、最後の最後はアークエクサスラッシュ(ウルトラスラッシュのアーク版)で作った穴に封印。これが伝説の中でのリオドの処理の仕方と重なっていて、ウルトラスラッシュを穴掘りに使うという「想像力=これまでの技の新たなる使い方」に関心。これでさすがに終わりかと思いきや、アークも引きずり込まれ、無限につづく穴の中での死闘からアークファイナライズ、その反動で地上に戻っていたアークの光線の軌道が、円弧(アーク)を描いて戦闘終了!! 思わず拍手してしまった。ここまで細部が計算し尽くされた見事な共鳴を見せると、「面白さ」よりも「凄いなおい」という気持ちが勝つ。
ということで、2話も面白かったウルトラマンアーク。物語の展開の「お約束」的な部分のアップデートも素晴らしかったし、怪獣表現や怪獣バトルも、本当に面白かった。
ただラストの石堂さんの一幕は、あっても良いけど、ちょっと早かったような……。何かしらの裏があるような匂わせは分かりますが、今現在の彼の様子を見ているに、劇的なキャラ変というものをしそうにない。多分裏はあるんでしょうけど、その裏とSKIPの利害とってそんなに抵触しなさそうだし、したとしても、どうせ石堂さんはその頃にはSKIP側に立ってんじゃないかなぁという「先読み」がどうしても働いてしまう。それが奇麗に裏切られる展開となっていくのなら、逆に嬉しいのですが。もう少し話を重ねて、彼がSKIPの仕事や自分の仕事に対するスタンスや考え方、あるいはそこへの葛藤が明るみになっていく過程に併せて「裏アリ」描写を入れた方が、よりハラハラするかなと思ったりなんかしたり。まあ素人考えですけどね。
次はいよいよ、ウルトラ怪獣シリーズアドバンスで登場した、変なアイツ。今のところ、カッコよく見えなくて買う気がさらさらないのですが……来週には、にっこにこ顔で予約してたりするのかなあ。楽しみでもあり、財布の紐を緩めてしまいそうになるのが恐ろしくもあります。