コスモスに登場する怪獣って、コンセプト的にもキャラクター然、あるいは生物然としているものが多く、一方の宇宙人枠は、高度な知性を持ちつつ、果てしなく邪悪か、果てしなく好意的か、両極端なものが多い。ワロガは、邪悪さで言うとコスモス登場宇宙人のトップクラス。こいつが初登場した第13・14話『時の娘』前後編は、コスモス初期の物語において、侵略宇宙人の悪辣さを相当に印象付ける位置づけとなった。
前から。
コスモスの宇宙人や怪獣の一部には原点回帰的なものがあり、ワロガもバルタン星人、あるいはメトロン星人然とした、すらりとしたシルエットが特徴。ありそうでない顔など、宇宙人ではなく「生物の形を構築しているだけの生命体」という雰囲気が強い。渋くてカッコいいです。
斜めから。
腕や胴体部分のディテールはメカニカルで硬質。
中世にいた、覆面かぶった宗教的な怪しい人にも見えてくる。
ソフビは色が少ない一方、細かい部分まで奇麗に塗分けられていますね。
頭部から肩にかけてのアミアミ模様が、きちんと塗分けられている。キレイです。
背中はこんな感じ。
この黒と銀が、夜に映えるんですよ。
『時の娘』では、コスモスと戦うナイト・シーンがありました。コスモスもやはり、夜に映えるウルトラマンでね。
物語の哀しさもあって、記憶に残る、非常に美しいシーンに仕上がっていました。
顔のアップ。
赤の点々はプリントなのかしら。
そうじゃなかったら、このソフビの量産、とっても大変よね。
下手にぼつぼつと浮きだたせるのではなく、塗で処理して滑らかな表面にしているのが良いですね。
腕は尖っております。
ディテールこそ細かいものがありますが、全体的な構造としては、ギギなんかと比べても非常にシンプル。
きちんと手が作られているのも、拘りを感じるところですね。
実際、『時の娘』でも、レナ・クロサキにワロガが手を伸ばすところがあって、その時にはちゃんと手がありました。
可動は両腕のみ。頭が回転したギギとは違い、そこ以外は動きません。
腰も、回るというよりは分割処理のためのものかと。
アクションには乏しいですが、素立でも決まる、良い雰囲気を持っています。
こういうところも、初代マンやセブンを踏襲しているところですね。
動かずとも、その佇まいが全てを語るっていうね。
手前に破壊された建物を置いて、ナメで撮るとこんな感じ。
どうでしょう。素立が逆に、良い効果を生んでいます。
ここまで書いてきて思ったんですが、このワロガの感情の読めなさは、『シン・ウルトラマン』の外星人にも通じるものがあります。
ってことで、絡ませてみた。
おおっ、違和感ないな。
『シン・ウル』本編では、メフィラス星人が使途みたいな、あるいは「現代風?」な再解釈をされていましたが、実は既に、似たようなデザインの宇宙人が、一番牧歌的な『コスモス』に登場してたんですよね。
意匠が共通した怪獣と。
ハイパーゼットン。
手の構造や、全体的に黒いところ。両腕以外に可動を持たないところが共通しています。
やや俯瞰から。
何を考えてるか分からない、その不気味さが最大の魅力であるワロガ。
コスモスの敵役の中では、最大級の「邪悪さ」で知名度を上げ、後年の「大怪獣バトル」期においても生き残った宇宙人でした。こいつに関しては、正直、今のウルトラシリーズでも十分にやっていける深遠を持つキャラクターだと思います。それこそ、次の令和版ダイナであるデッカーにおいて、スフィアを取り込んだワロガとして再登場するなど、話の広げ方はいくらでもできそう。ワロガの今後に期待です。