自分で動けるうちはまだマシ。
しかし動けなくなり、車椅子生活になると一気に重労働。
車椅子からベッドへの移乗だけでも、腰が悲鳴をあげる。
「ボディメカニクスを使えば楽になりますよ〜」なんて、習うけど――
現場じゃ普通に力技だ。
理論より根性、腰より気合い。
いや、正直に言う。
何をとっても大変だ。
そんなある日、新規で入ってきた男性利用者。
元レスリング選手だという。
なるほど、歳を重ねても体の厚みが“過去の武勇伝”を物語っていた。
だが問題はそこから。
移乗のたびに、こちらの腹にパンチを繰り出してくるのだ。
――ねぇ、落ち着いて?組み技じゃないよ?
しかも、若い頃は減量のために「食べては吐く」を繰り返していたらしく、
その名残で逆流がひどい。
・・・癖が強すぎる。
ただ、不思議なもので。
経験を積んでいくと、そんな“地獄みたいな癖”さえ、ネタとして楽しめるようになる。
そして今日、ブログに記事としてアップロードされる。
――何でも楽しんだもん勝ち。
しかし、笑えるうちは地獄の入り口。
