居室担当を技能実習生と新人介護士に振り分けた際、
それぞれ誰を担当したいか選んでもらった。
技能実習生が担当することになった居室の利用者。
その家族が、決まった曜日に必ず面会に来て、毎回あれこれ注文をしてくる。
「紅茶を持ってきたから出してください。」
「柔らかいお菓子を持ってきたから出してください。」
「食べ物は形のあるものにはできないんですか?」
「とろみは必要ですか?」
「ズボン下を履かせてください。」
「湿布持ってきました、必要な時に貼ってください。」
——とまあ、メモ書きレベルじゃ追いつかない。
そのうち職員の間で情報が混線し始めた。
そこで「取りこぼし防止」のために、居室にノートを置くことにした。
家族と居室担当の技能実習生がやり取りできる“交換日記”のようなノートだ。
まずは信頼関係が大事。
だから1ページ目に自己紹介を。
主に関わる居室担当(技能実習生)、ケアマネ、そして一応リーダーである私の自己紹介も添えた。
ノートには日々の様子やお願い事を書き込み、家族との距離を少しずつ縮めていく。
——私が、ね。
何度か技能実習生にも言っている。
「ノート、読んでね?」「何か書いてあったら返事してね?」と。
けれど、返ってくるのは「はい」だけ。
ノートは開かれるけど、書かれない。
「いつも面会ありがとうございます」
その一言でも書いてくれたらいいのに。
・・・いや、求めすぎ、だな。
具体的に指示すれば一生懸命やろうとはする。
それで十分なのかもしれない。
でも、仕事を“振った”つもりが、
気づけば仕事が“増えてる”のはいつも私。
ま、リーダーなんて、そういう役回りだよね。
報われないのがデフォルト。
・・・それとも。
居室担当が日本人だったら、こんなことにはならなかったのだろうか。
せめて「自分で選んだ担当」なんだから、
もう少し、やる気を見せてほしい、よね。
