ある日、いつものように排泄介助で訪室した女性利用者が言った。


「ヤマダくん(職員)、今度彼女の親に挨拶に行くみたいよ〜。こういうの緊張するわよね」


「そうなんですね〜」と返事しつつ、ぼんやり思う。

――へぇ、結婚するのかな?


数日後、今度はこう言ってきた。


「ヤマダくん、彼女と別れちゃったんだって。複雑よね〜」


そうなん?てか、なんでそんなこと知ってるの?

誰だよ、ペラペラ喋ってる奴。


親切心から、ヤマダ本人に一連の“暴露情報”を伝える。

すると返ってきた答えがこれ。


「(その女性利用者に)相談してたんです!」


ほぉ〜〜。

つまり、“年寄りの言うことと牛の鞦(しりがい)は外れようで外れない”ってことですか?


・・・それはいいけど、その利用者のおかげで施設中の全員があんたの恋愛事情知っちゃってるよ。


悩めるヤマダ、まーせいぜい頑張ってくれ!