久しぶりにブログを開いて、昔の記事を読み返した。


ネタにした利用者。

何人かは、もういない。


まあ、そういう仕事だ。


最近は、本業の特養で外出レクに力を入れている。

利用者2人、職員2人で近場に出かける程度。

職員が多い日を作り、なるべく外に出られるよう調整している。


ちょっとそこまで行くにも、まず人員確保。

高齢者相手だと気軽に「行こう」だけでは済まない。


ある90代の女性利用者。

今年の初めに大きく体調を崩して、家族も職員も「そろそろか」とソワソワしていた。

「今年の桜は見られないね」

なんて話していたのに、奇跡的に復活。

びっくりするほど元に戻った。


人の予想なんて、そんなものだ。


コーヒー好きの彼女が、ある日言った。


「美味しいコーヒーが飲みたいな」


「じゃあ来月、外食レクでカフェに行きましょう!」

そう約束して、翌月のシフトで日程を調整した。

休み希望、委員会、研修。

予定は山ほどあるくせに、人は余っていない。


結局、行けるのは月末になった。


そう伝えると、

「遠い〜!もっと早く行きたい!」

子供のように駄々をこねた。


楽しみにしてくれるのは嬉しい。

ただ、何度言われてもシフトは変わらない。

「ごめんなさいね〜」

そう返した。

彼女はその後も、何度も文句を言った。


むせ込みが増えたのはその頃からだった。

体力が落ちて、見るからに弱々しくなった。


カフェに行く予定だった月末には、

もう車椅子にも乗れないほど衰弱していた。


そして、翌月、女性は亡くなった。


コーヒー1杯。

結局、それすら叶えられなかった。


もう少し早く行けていたら。

もう少し粘ってシフトを調整していたら。

持ち帰りで買ってきて、飲んでもらえばよかった。


終わってからなら、いくらでも思いつく。

今さら頭が回ったところで、何の役にも立たない。


「来月行きましょう」


ずいぶん気軽に言ったものだ。

来月も元気でいる前提で、予定を組んでいた。


シフトは予定どおりに出来上がった。

しかし、彼女の体力は待ってくれなかった。


いつも私の名前を呼んでいた利用者。

もう呼ばれることはない。


後悔したところで、飲ませられるわけでもない。

反省でどうにかなるなら、とっくにしている。


高齢者の一寸先は闇。






こういうのが、一番きつい。