現場で介護士を本気で困らせるのは、「トイレの亡者」だ。
「よく行く」とか「頻回」とか、そんな生ぬるい表現じゃ到底足りない。
トイレに行って、出てきた瞬間にはもう行ったことを忘れて、また即トイレへ。
こちらが「さっき行きましたよ」と声をかけても通じず、「行ってない!」と怒り出す始末。これを永遠に繰り返すのだ。
そんなことをしていて疲れないわけがない。
なんとかベッドで休んでもらったのも束の間、数分後には車椅子に乗ってまたトイレへ向かおうとする。
疑ってしまうが、毎回尿意があると言う。
たしかに、“トイレに行く”という行為は生活リハビリになる。ADLが向上する人も、理屈の上ではいる。
しかし、転倒リスクも跳ね上がるし、実際転んでケガする人だっている。
しかし「転ばないように見守って」なんて、上は簡単に言う。
ワンオペが通常運転の中、その見守りをしてる間、他の利用者は誰がみる?
“トイレに取り憑かれた1人”に現場が飲み込まれるのだ。
そして、そんな利用者を横目にまた違う利用者がトイレへと向かっている。ナースコールが鳴り止まない。
利用者本位?
寄り添うケア?
そんなのどっかに置いてきちゃったよ。
考える暇もない。
綺麗事だけじゃ現場はまわんねーよ。
