新卒で入社し、介護歴5年ほどの若手職員がいる。

まだ若いのに、隙間時間も無駄にせず、常にテキパキ動いている。

サボる気配も、ため息も、愚痴もない。


ある日、唐突に聞いてみた。

「介護の仕事、楽しい?」


彼女は一瞬の迷いも見せず、

「はい、楽しいです!」と即答した。


なるほど、そういう人もいるんだなと、一応納得してみせた。

どうやら高齢者が好きらしい。

私だって、嫌いなわけじゃない。

排泄介助だって、入浴介助だって、別に嫌いじゃない。

どの利用者にも想いはある。


でも、もし収入とか生活とか、そういう現実を度外視できるなら。

たぶん私は、今すぐにでもこの仕事を辞める。

本音では、もうとっくに限界を感じてる。

踏ん張ってるだけ。生きるために。


あの子と私。

何が違う?


生活のために見つけた介護職も、

早20年ほどになる。

この仕事、向いてないわけではないだろう。

しかし、楽しんでるか?

自問自答。ーー楽しんではない。

なぜか?

答えはわかっている。


・・・ただ気付かない振りをして、今日もシフト通り出勤するだけ。