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                   第二章 母の日常生活

                 

 

 

  

 

    

  

    

       「ねかせてー、ねむたいやんかー!」母の日常、その(29)


   2005/10/3(月) 午後 0:29 
 某月某日 母の徘徊は、千変万化、最近は夜明けに多い気がする。明け方近く。

「おしっこやねん?」と、母が四つん這いになって寝床から這い出して来た。

「はい、行こうか~」

「ねむたいしな~、コシいたいねん?、なんでやろなー?」

「う~ん、お袋ちゃんの腰な~、骨が折れたんや~、あんまり痛かったら、薬飲むか?」

「おしっこやー、ゆーてんねん!」腰は痛むし、おしっこはしたいし、母が怒るのも当然である。

「分かった、わかった」その後も半分夢の中なのか、会話が噛み合わない。おトイレから寝室に戻ると。

「わて、こんなとこで、ねるんか~?」

「そうやでぇ、何時も此処で、寝てるでぇ」

「しらん、はじめてや、わて、ひとりでねるんか、さびしいぃー」

「心配せんでも、僕が、隣で寝てるからな~、ゆっくり、寝んねしぃ~な」

「かぶせて、さぶいねん」しばらくして。

「おか~さん、おか~さん、かぶして、もっと、かぶしてー!」と、母の声。私は母のお母さんになった。

「うん、どうしたんや?」母の寝床へ。

「かぶして、ゆ~てんねん、にいちゃんどこでねてんのん?さびしいねん」不安そうな母の表情。

「かぶしたったで~、隣で寝てるからなあ」夏の掛け布団の上から毛布を一枚、さらにもう一枚、かけてやった。午前5時過ぎだ。カーテンの隙間から少し陽が射してきた。何回か、こうした、やり取りを繰り返すうちに母はとうとう、私の寝床えもぐりこみ「一緒に寝る」仕儀となった。

リリーン、リリーン、リリーン、目覚ましが鳴った。午前6時半だ。母は、音には、ことのほか敏感で案の定。

「ねかせて~、ねむたいやんかっー!」と、怒鳴る。これは、母が元気な証拠だ。あれだけ連日夜中に徘徊してだ。(お袋ちゃん、タフやなー、僕の方が先に逝くんちゃうかな~,と本気で思うことがある)。

 

 

 

ト書き:47歳に私がなった時から、62歳になるまで、母の介護を、続けたが、私は、自分自身が、還暦を越えたことに、全く気づかなかった。