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第二章 母の日常生活
「どこもわるない、へんなことしはるひとやー、もうかえるーぅ!」母の日常、その(28)
2005/9/30(金) 午後 0:29
某月某日 母は、昔、心筋梗塞で二度ほど入院しており、いまでも、二ヶ月に一度検診を受けている。その診療所までは自宅マンションから徒歩数分の距離だ。今日は検診日。
「どこいくん?しんどいねん」と、言う母を何とか連れだした(私は母に嘘をつきたをしているのだ)。
「今日はな~、お袋ちゃんの心臓がな~、大丈夫かどうか、先生に診てもらいに行かなあかんねんで~」
「わて、びょうきか?」
「病気やないけど、昔な、心臓ちょっと悪かったから、入院したやろ~?」
「しらんねん、にいちゃんコシいたいねん、どうしたらえ~かな?」
「ほんだら、腰も診てもらうから、行こか~?」
「うんっ」と、母がようやく納得顔になった。自宅から、診療所まで約100メートルくらいか。昨年までは、手押し車で母は自力で歩いて通院していた。が、いまは、診療所の車椅子を拝借して、乗せて行かなければならない。
「00さん、お久しぶりやね~、まあ、髪きったん、ショート、よ~似合うわあ」と顔見知りの看護師さんが声を掛けてくれる。
「ふっふ~ん、にいちゃん、にあうゆ~たはる、おもしろいひとやな~、だれや~?」
「うん、僕等の知ってる看護婦(看護師)さんや」母には「看護婦さん」と言わなければならない。
「こんにちは、よろしくお願いします、はい、特に変わったことは、ありません」と私は診察室に入り主治医の先生に挨拶を兼ね、母の様態を伝える。
「00さん、ちょっと服脱ごか~、心音きかせてな~?」と先生が。
「ふく、ぬぐん、え~んかな~?」
「直ぐ、終わりますからね~」先生も心得てはいるが。聴診器を何が何でも当てたい、医者と母の攻防がしばらく続く。止む無く先生、母の肌着の上から聴診器を当てる。それも素早く。
「にいちゃん、しんどい、このひと、だれやっ!」母が気分を害し始めた。
「お袋ちゃんに病気がないかどうか、診てくれてる先生やんか~」と小声で母の耳元で言うのだが。
「どこもわるないっ!、へんなことしはるひとやー、もうかえるっー!」その後の点滴がまた一苦労。付き添う私がいなければ、母は、点滴針をハズそうとする。そうはさせまいと、母をなだめる私。いつの間にか二人でベットの上で添い寝していた。看護師さんが「親子やね~」と笑う。
ト書き:病院やデイ施設は、母が、一番、気分を悪くするところで、私は、何時も、母に嘘をついて、無理やり?、通わせていたような、気がしたのだ。