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第二章 母の日常生活
「へ~っ、にいちゃんもしらんのん!わてもわからんねん!」母の日常、その(27)
2005/9/29(木) 午後 0:25
某月某日 母とは、出来るだけ会話を心がけている。何をするにも「00してくるわなー」と必ず一声かける。炊事(料理は出来ない)、洗濯、ゴミ出し、は無論、おトイレに行く時でもだ。
「なにしてるん、なんや、それ?」私が何時もと少しでも違う行動や言動に、母は鋭く察知するのだ。
「うん、これな~、国の大切なアンケート(国勢調査)やねん」テーブルに調査用紙を拡げて。
「ふ~ん、クニがなんやてー?」
「日本がな~、今どうなってるか、国が調べはんねん、それにはな~、この紙に僕等が書かなあかんやろ~、そやないと、いま、日本の人口がどれだけおるんか、分からんようになるやろ~」
「ふ~ん、そういうこと!、わてわからんねん、もう、おわるか~?」真顔で頷く母。
「うん、直ぐに、終わるよ~」母は、納得して、テレビに顔を向けた。
「これだれやー?、どこにすんではるん?」
「う~ん、00ちゃうかあ、テレビでよ~見る人やわ~」
「あんなことしてる、なんでや?」
「あれは、コマーシャルやから」
「みてみぃ、うちみて、わろてる、アホちゃうか、なっ!」テレビの画面がどんどん変わるので、母が何を見て言っているのか。
「こんなことしてえ~のんかいな、なーっ!にいちゃんてー!」
「うん、ちょっと待ってな~、まだ、これ、書いてんねん」
「それ、なに、かいてんのん?」
「うん、国のな~、アンケートや」
「わからんねん、クニのなんや~?」私は、繰り返し、国勢調査の調査票を記入していることを、母に話す。書き終わると。
「おわったんか~、よかったな~」と母がニッコリする。
「がやがや、うるさいねん、なにしてるん?」と、テレビの画面を見て母が言う。
「外人のコマーシャルやから、僕も、よ~分からんわ」
「へぇ~、にいちゃんもしらんのん、わてもわからんねん?」母にコマーシャルの映像を説明するのが、一番難しい。が、この、ゆったりしたやり取りを私は大切な時間だと思っている。
ト書き:認知症介護には、私は、会話することが、一番大事だと、言う事を、母から、自然に教わった。