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サッカー小説「蹴り屋」



      
第一章 場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護



    「なんで、ここにおらなあかんのんやっ!」知らんねん、その(3) 

 

  2005/8/3(水) 午後 0:28
 某月某日 理屈、常識は、時代によって変化する。今後もそれは、日々変化し続ける。認知症の母の世界でもだ。

「あした、がっこうかいなー、しんどい、いきたないわー!」寝る前に母がけだるそうに仰る。

「どうしたん?、疲れたんか~?」

「イエ、かえりたいねん、にいちゃん、つれてってー」

「おしっこ、ないか~」もう、そろそろ、おトイレの時間だ。

「うん、ある~」

「行こうか?、あ~、ティシュはな~、お袋ちゃんいらんで~、ちゃんと、おトイレにあるからな!」母がティシュの箱を持って行こうとした。

「どこにぃ、ほんまかー?」

「ほら~、見てみぃ、此処にちゃんと、あるやろ~?」

「こんなとこやった、そんな、よ~け、いらん?」

「このくらい、紙いるで、ほ~ら、さわってみぃ、薄いでぇ」

「あぁ、ほんまや、うすいな~、これ、にいちゃん、ふいてくれるぅ?」

「お尻、洗うてからな~」

「つめたいんやろ~?」

「う~うん、温いで、ほら、温いやろ~」

「ほんまや、ちょろちょろ、おしりあろうてるぅ」

「あーっ、お袋ちゃん、ちょっと待ってやー!」

「なんやのん?もう、おしっこ、でたわー」母のオムツ(いや、パンツ)が汚れていたのだ。

「綺麗なパンツに履き替えよか~、直ぐ、持ってくるから、ちょっと待っててや~」

「どこいくのー、なんで、ここにおらなあかんのんやっ!」

「ほ~ら、これ見てみぃ、綺麗なパンツやでぇ、履き替えたら、気持ちえ~よ」

「それ、わてのんか~、しらんねん?」10分足らずで、母の機嫌は持ち直し、そのまま、寝床へ。

「お袋ちゃん、お休みなさい」
私は直ぐに寝息を立てた母の寝顔を見て(お袋ちゃん今日も元気で良かったなー明日も元気に学校いけるよ~)と思うのだ。



ト書き:何の変哲もない日常、の、ように見えるが、日々、母の認知症の症状が、そこかしこで、感じる、私だった。