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サッカー小説「蹴り屋」



      
第一章 場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護



   「あんた、かしこいな~」知らんねん、その(2)


   2005/8/2(火) 午後 0:25
 某月某日 夜な夜な徘徊する。睡眠不足にならないのかと、寝不足のこちらが心配するのだが、母はいたって元気だ。今朝目覚めたら、母は私の隣ですやすやと添い寝していた。

「ああ、目ぇ~覚めたんか~、ご免な~」

「ねむたいのにぃ、なにやってんのん?」

「うん、もう、起きなあかん時間やねん」

「あんた、おきぃ、わて、まだねむたいから~」

「ほな、お袋ちゃんの部屋で寝よか~」

「ここが、わたしのとこや!、おしっこしたいっ!」

「ほな、行こ~うか!」母をおトイレへ連れて行き、手洗いを済ませ、そのまま、母の部屋へ。

「ほんだら、ゆっくり寝ときな~」

「ねても、よろしいか?」

「え~よ、お茶沸かしとくから、ゆっくり寝ときなっ」

「よ~わかってるなー、あんた、かしこいな~、ねさしてもらいます」リビングの私の寝具を片付け、朝食の用意だ。

「もう、おきても、よろしいか?」と母が。

「まだ、寝とってえ~よ、ご飯できたら、起こしたるからな~」

「あいよ」

「お袋ちゃんな、今日も僕の隣で寝ててんで~」と、ちょっと聞いてみた。

「んん、そんなことしたか~、しらんねん、どうしょう?」

「別にかめへんやん、親子やねんやから」

「あんた、かしこいな~、そう、ゆ~てくれるのん!」母が、四つん這い(母は、圧迫骨折で腰を2回折っている)で、リビングにやってきた。夜中あれだけ徘徊し、寝不足にならないのか。90うん歳、タフである。



ト書き:不安感が、母を襲い、それが「寂し」さに繋がり、母は、自分の、居場所を求め、徘徊するのだ。