認知症介護記「かいごさぶらい」上巻・Amazon 

<strong>販売中です。</strong> 
KINDLEダウンロード販売中です。認知症介護「かいごさぶらい」上巻
KINDLE版ダウンロード販売中です。小説「平剣」 販売中です。 

認知症介護記「かいごさぶらい」のブログ。-かいごさぶらい上巻 


サッカー小説「蹴り屋」



      
第一章 場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護



   「おぼえてへんわ!、あほちゃうかー!」知らんねん、その(1)


  2005/8/1(月) 午後 0:33
 某月某日 忘れることの不安は、本人にしか、分からない。忘れるから、不安が増幅するのだろう。その不安(病)と母は毎日闘っているのだ。母が何かに一生懸命になっている時が、闘っている時だと、私は思うようになった。夕食時。

「もう、え~かな~」母にそ~っと聞く。

「まだや~」ちゃんと、聞いてくれてはいるのだ。

「そやけど、もうご飯食べる時間やから~」

「もうちょっとっ」

「早よせな、冷めるよ~」

「わかってるがな、これしとかな~、、、、、」

「僕さきに食べるよ~」

「たべー!」

「冷めてしまうけどな~」母はお仕事(ティシュを箱から取り出し、一枚一枚丁寧に折り畳んで積み上げていく作業)に夢中である。

「後からしたらどう~、今日学校(デイサービス施設のこと)行ったし、疲れるで~」

「つかれてへん、これさきにせな、あかんねん、あんた、わかれへんのん、がっこういってへんわ!」

「何で~な、今日、学校でカラオケ大会やったやんか~」

「カラオケ!、しらん、がっこうもいってへんのにぃ!」

「ヘルパーさんが、00さん、00の歌、上手に唄ってはったよ~って、言う~たはったで~」

「ヘルパーさんてだれや!?おぼえてへんわ、あほちゃうかー!」お箸に手をつけるまでに未だ、半時間はかかりそうだ。母がその気になるまで待つほかないのだ。(何でもえーわ、お袋ちゃん楽しそうやし、今日も勝ちやー、と私は思うのだ)。



ト書き:なにかに夢中に、なっている時は、母が「忘れる」と、する、認知症の「病」と、闘っている時なのだ。