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サッカー小説「蹴り屋」



      
第一章 場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護



    「きいてへんわ!、どこいっとったん!」寂しいねん、その(4) 

  2005/7/28(木) 午後 1:36 
 某月某日 母のような方を介護用語で「見守り介護」と言うそうだ。デイのヘルパーさんらの大変さが心底良く分かるのだ。

「お袋ちゃん、ちょっと、部屋片付けてくるからな~」と、声をかけて母から離れた。

「あいよー」この愛想の良い返事がくせ者だ。

「ね~さん、ね~さん、どこやー!」ほんの2~3分でこうなるからだ。今は私は姉になった。

「此処やで~、直ぐいくから、もう、ちょっと待っててや~」

「はよ、こんかいなー、なにしてんのん、もうーっ!」

「此処やんか~」自室から顔を出し、リビングで呼んでいる母に廊下越しに顔を見せる。

「そんなとこで、なにしてんのん?」

「うん、部屋かたづけてんねんやんか~」

「きいてへん!、ほったらかしてーっ!」

「もう、終わるからな~、もうちょっと待っててな~」

「なにが、おわるねんなー、はよ、こんかいなー!」そりゃそうだ。何が終わるのかは、母には何の関係もない。

「此処やんか~、何処へも行けへんよ~、直ぐすむからな~」

「もう、イエかえりたいねん!」

「分かった、わかった、直ぐ、いくから~」こんなやり取りをしばらく続けると。

「わて、かえるわーっ!」母のしびれが切れた。座椅子から立ち上がろうとする母を見て慌てて、リビングへ。

「もう、片付け終わったから、一緒にテレビでも見よか~」と、ご機嫌取りに急いで母の元へ駆けよる。

「しらん、さびしいゆーてるやろー、きいてへんわ!、あんた、どこいっとったん!!」と母が、私を睨む。デイ施設の方々のご苦労が、想像出来る。




ト書き:恐らく、デイ施設でも、母のような重度認知症の方々の「見守り介護」は、大変なのだろう。が、親子二人、この時間が楽しかったのだ。