「あたりまえでしょう!、にいちゃん、こんなんや~」母との日常、その(10)
2006/3/9(木) 午後 0:29
某月某日 夕食が済むと、母は、手持ちぶさたで、手の届く範囲の物を片っ端からいじり始める。それも、1時間ほどで、飽きてしまうので、私は何かと話題を探し、母に話しかけるようにしている。
「お袋ちゃん、明日はな~、学校(デイ施設)休みやでぇ、よかったな~」
「へーっ、そうか?、やすみかぁ、なんでや~」
「そんな、毎日な、学校行って、仕事ばっかりしてたら、疲れるやんか、そやから、明日は休むねん」
「そうや、わてもなぁ、しんどいねん、にいちゃん、よ~しってるなっ!」
「ちゃ~んと、学校に言~うたあるからな、ゆっくり休んだらえ~ねん」
「そうか、お~きに、よ~わかってんな、にいちゃん、あんた、ハ~、おかしぃなっ」
「うん、ん、、、歯並び悪いねん」
「なおしんかいな~」
「もう~な、治れへんねんて~」
「なんでやー」
「もう、大人やからな~、治されへんねん」
「そんなこと、だれがゆ~た」
「う~ん、歯医者さんやんか」
「あほかーっ、なんで、なおれへんのん?」
「そやからな~、子供の時やったら、治されるけど、もう、おっさんやから、手遅れやねんてぇ」
「おかしいな~、わてらみてみぃ、こんなんやでぇ」と、母が口を開けてキレイな入れ歯を見せる。
「そら~、お袋ちゃんの歯はキレイでぇ、僕はこんなんやぁ」と、私も母に口を大きく開けて見せた。
「あーっ、にいちゃんの、ハー、なあ、こんなんなってるわ~」と母は自分の口元に手を当てて、ギザギザになっている様子を、私に教える。
「そうやねん、そないなってしもうてん」
「あっははは~、おかしいなあ、にいちゃんの、ハー、こんなんなっとるわ~」
「笑いなぁ、格好悪いねんから~」
「わてら、こなんやで~」と母は、また、口を開けて私に見せる。
「お袋ちゃんの歯、キレイなーっ!」
「あたりまえでしょー!、にいちゃん、こんなんや~」母が、寝る前のおトイレに行く、と言うまで、こうした、やり取りが続くのだ。
ト書き:介護は会話から、が、私の方針だった。このため、何かにつけて、母に、話しかけたのだ。
