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        第一章「母と入れ歯」入れ歯、その(2)  



          「わたしは、しらんゆうてるやろー!」入れ歯、その(2)

           





2005/4/14(木) 午後 1:07
某月某日 母の下の入れ歯が出来上がって1ヶ月余り。用心はしていたのだが。朝食が終わった、その時。


「あれっ!、お袋ちゃん、下の入れ歯は?ちょっと口、あ~んしてみぃ」(しまったー)と、心の中で叫ぶ私。


「あ~ん」母は悠然としている。


「無いやんか!、入れ歯どうしたん?」


「はじめから、ないで~」と、母。泰然自若。私もこうありたい。


「そんなこと、ないやろ~」(トーンダウンした私の声だ)勝負はもう着いたのだ。


「うち、しらんっ!」と、母はきっぱり言う。そう言えば、昨晩は入れ歯をしたまま、母は就寝したのだ。私は、内心、しまった、と思ったが、時すでに遅し。


「お袋ちゃん、入れ歯ハズして、どこかへ置いたんちゃうかな~」(諦めの悪い私の呟き)。


「そんなこと、せ~へん」座椅子に、ゆったりもたれ掛かり母が仰る。私は、慌てて、母の寝床や、母が手の届きそうな、衣装ケースや箪笥の抽出し、ゴミ入れなどを捜し回った。


「えらいこっちゃ~、どこにも無いわ~」


「わたしは、しらんいうてるやろーっ!」ウロウロする私を母が一喝した。

過去に、衣装ケースや箪笥の抽出し、寝床の敷布団の下、ゴミ入れの中、等から見つかったケースが幾度もあった。いずれも、ティシュペーパーに幾重にもくるまれて見つかっているのだ。


 一度は、マンションのゴミ集積所でゴミ袋をヒックリ返して見つけたこともあった。それらの経験は何の役にも立たなかった。


 結局、下の入れ歯は見つからず、また、造り直しである。新しく入れ歯を造るためには、前回造ってから、6ヶ月以上経っていないと、保険が適用されない。私のちょっとした油断が招いたものだ。



ト書き:同じ、失敗を、何度も・・・、だった。