第七章 「寝たきりへの道」
「かいごさぶらい」<下巻>第七章「寝たきりへの道」その(45)
「しらん!、ほっとけー、あっちいけー、ゆうーてんねん!」寝たきりへの道、その(45)
2006/12/6(水) 午後 0:44
某月某日 この日大阪は、今冬一番の冷え込みとなった。暖房を入れ、リビングを暖めた。朝食の用意も終え、ゴミ出しも済ませ、母を起こさなければ、学校(デイ施設)に間に合わない時間になった。で、、、。
「お袋ちゃん、起きましょか~、お茶の用意も出来てるよう」
「そぉ~、ふ~ん」下着も替えなければならないから、私は、少し焦り気味になった。
「はいはい、起きよなあ、学校行かなあかんやんかあ、なあ」
「がっこうー!、だれがやー!」
「うん、お袋ちゃんやんか、今日はなあ、カラオケ大会や、歌をな唄うて帰ってきたらえ~ねんよう」(嘘である、今日は学校で何をやるのか分からない)。
「うたいたないーっ!、なんで、そんなことすんねん、あほかーっ!」そんなことは、母は百も承知しているのだ。(母は私の為に学校へ行っくれているのだ。子供の為にだ)。
私は、母の掛け布団を、そ~っとめくった。両手を合わせ、九の字になって寝ている母。
「あら~っ!、往生してるんかいなあ、こっちで熱いお茶飲もう、美味しいよう、元気でますよう」と、誘ってみた。
「でーへんわー!、あっち、いきんかー!、なにを、んんーやっ!」
「そのまま、やったら寒いやろう、さあ~、起きてみぃ、はい」と、母を抱き起こそうと、近づくと。
「パシッー、パシッー、パンパンパン」と、母が私の差し出した両手や頭を叩きだした。時計は午前8時半になろうとしている。
「今日は、遅刻かもな~」と私は思いつつも。
「痛っ!、何怒ってるん?、寒いんちゃうん、風邪引いたら大変やでぇ、なぁ、熱ぅて、甘いジュースもあるから、ゆっくりで、え~から、起きようなぁ」
「しらん!、ほっとけー、あっちいけー、ゆうーてんねん!」と、母が、今朝の気分を言い放った。
「タクシーで連れて行くしかないやろな~」と、私も、決めた。俗世の都合を、母に押しつけてはならないのだが。