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            第六章 「母の気力」


       「かいごさぶらい」<下巻>第六章「母の気力」その(12)


     「なにもでけへんくせに、ばかにしてー!」母の気力、その(12)


2006/8/1(火) 午後 0:41
某月某日 昨晩は、ことのほか蒸し暑く、母も何度か目を覚まし、徘徊ともどうともつかぬ行動を繰り返した。そして迎えた朝の午前8時前。


「にい~ちゃーん、どこやー!!」当然の事ながら、不機嫌そうな、母。


「うん、此処やでぇ、お早うさん、起きたんですか~」


「しんどいねん、まだ、ねるぅー!」


「そうか、かめへんよ、もうちょっと寝とくか~」しばらくして。


「よんでんのにぃ!、きこえへんのんかー!!」母の怒鳴る声がした。行ってみると、母は寝床から起き上がろうとしていた。


「起きたんかいなぁ、おしっこいっとくか~」


「はようー、つれてけー!」やはり、ちょっと、ご機嫌斜めだ。今日は、午前10時に大事な約束がある。


「お袋ちゃんが、この調子やと、約束の時間には、あぶないかな~」私は思いつつ、慎重に対応することにした。


「はい、ゆっくり座りやあ」用を済ませ、嫌がる母に怒られながら、パンツの交換、洗顔を終えた。しかし、頑として、入れ歯をしない。何とか入れ歯を、と思うのだが。


「いたいわー!、こんなことしやがってー!」母を怒らせてしまった。


「ご飯、用意出来てるから、食べようなぁ」テーブル上に温めた、スープとケーキパンを並べ、今一度、母に。


「はい、ご飯食べんねんから、入れ歯しとこなぁ」入れ歯を勧める。


「なんやー!」母が、口元まで持っていった、入れ歯を手で振り払った。


「コンコロコーン」と、入れ歯はテーブルの上を転げて。


「あーっ、あ~、せ~へんのんか、ご飯食べにくいでぇ、入れ歯しとかな、な~」私は、入れ歯を取り、再度、母の口元へ。結局、二、三度、この繰り返し、で、結局、母は入れ歯をせずに朝食を始めてしまった。(まあ、しゃ~ないな~)。


「げほっ、げほっ」と母が、咽ぶ。


「ほらあ~、なぁ、入れ歯せ~へんから、喉に詰まるやん、な~」


「くるしいいぃ~、にい~ちゃん」母の背中ををさすりながら、入れ歯を装着するよう、説得するのだが、入れ歯を手で振り払う。頑として入れ歯をしない。


「これは、あかん、今日、学校(デイ施設)行くのも、あぶないかな~」と思いながら、母の機嫌を損なわないように、デイへ出かける準備を始めた。デイの送迎バスが後、数分でやってくる。


「はい、お袋ちゃん、学校(デイ施設)のバス来たよう、行きましょか~」母に両手を差し伸べ、座椅子から抱き起こそうとした時。


「バシバシバシッ!」母が、差し出した私の両手を叩き始めた。


「あっ、痛い、痛い、何するん」


「なにもでけへんくせに、ばかにしてー!」と、母が拒否(全く母の言う通りなのだ)。

(これはあかんかな~、今日の大事な約束の時間に間に合わんかなあ)私は、ボヤーッと思いつつ、何やかやと、母を騙して、何とか、学校へ、送り出した。