ホールの真ん中で、車椅子に座らされてぽつんと一人になる。
声が出せない
立ち上がることができない
腕を上げることができない
周りには大勢の人がいる。
みんな忙しそうにホールを行き来している。
「トイレに行きたい」
でも、自分一人では行くことができない。
誰か話しかけてくれないかな。
おぉーい、こっちに来てよ。
もう我慢できないよ。
あっ、目が合った。
よかった、間に合いそう。
あれ、逸らされた。
なんで?
もうダメ、間に合わない!
あぁ~あ・・・。
突然後ろから肩をたたかれる。
「ちょっとー、何でトイレに行くまで我慢できないの!」
「また仕事が増えた!」
そ、そんな。
さっき目が合ったとき、こっちに来てって合図したのに。
目を逸らしたのはあなたじゃないですか・・・。
僕が悪いの?
決まった時間以外にトイレに行きたくなった、僕が悪いの?
こんなことが1日1回は起こっていました。
ほんの5・6年前のことです。
自分の親が、子供がこんな状況に置かれているのを目の当たりにしたとき、あなたは冷静でいられますか?
こんなことを受け入れられないと、施設では生活ができないのでしょうか。
できることならあのときに戻って、目を逸らしたやつを叱りつけたい。
あのとき自分は何をしていたんだろう。
黙って見ていた。
自分も同じですね。
たまたま目が合わなかっただけ。
目を合わせることさえできなかった。
言葉はなくても介護はできると思う。
思い遣る心がなければ、介護はできないと思う。
今年は実習担当です。
何を伝えればいいのか、大切なことを伝えられるのか。
今から不安です。