認知症状の一つに被害妄想がある。よく、入院中に訳わからなくなって、歩けないのにベッドから起きあがろうとしたり、自分は殺されると叫んだり、点滴を無理やり自分で抜いて、体を抑制される人がいる。せん妄が出現しているために起こる行動で、退院すると精神的に落ち着き、通常の生活に戻る人もいれば、入院をきっかけ認知が進む人もいる。
せん妄の一つに被害妄想がある。被害妄想の中でも、物盗られ妄想は始末が悪い。
財布やお金、大事な物が誰かに盗まれた、知らない人が家に入って盗んでいったと訴える。知らない人ならいいけど、よくあるケースに一番身直な人を疑うこと。例えば、食事など身の周りの世話をしている息子の嫁が盗んだと騒ぐ。そのことをたまにしか来ない自分の娘に訴え、それを信じた娘と息子夫婦の間にバトルが始まる。もちろん、娘が冷静に受け止めれば、ありえない話であるが、自分の母親が認知だと思っていない、認知の初期にはあり得る話だ。
家族が近くにいない場合でも、被害妄想はある。介護認定を受け、ヘルパーが生活支援に入っている場合は、ヘルパーが物を盗んだという物盗られ妄想も多々ある。この場合はケアマネジャーなど介護職が介入しているため、ヘルパーを変えたり、お金を部屋に置かないようにしたり、本人が警察に連絡したら、警察と連携して対応するなど、対応することになる。もちろん、デイサービスなど介護施設でも被害妄想は所構わず出現する。
次に、自分は誰かに監視されている、嫌がらせを受けているといった被害妄想。イーサンのように、暗殺者に命を狙われているという分かりやすい作り話ばかりではない。凛として自立している自分の母親父親が、マンションの階下や2部屋先の人に嫌がらせを受けてる、自分の動向を常に監視していると切に訴えたら、信じる家族もいる。中には、被害を警察に訴え、警察が介入するときも数多くある。認知症状だと分かるまでは大騒ぎ。認知症状だと分かれば、介護の専門家が何らかの手が打てるが、家族が被害妄想だと納得するまでは右往左往の状態が続く。