クリーニング出稼ぎ先は公益法人とも
取引のあるお固い会社。

なので茶色がかった長髪は
バンデラス様に後でまとめ、
無精髭は剃り、服装も
ビジネスカジュアルだ。

浅学なものでこの
ビジネスカジュアルと言う
単語は初耳だった。

生まれて初めてチノパン
(それでも何とか黒を
探し出し)とやら購入。
ベルトは見えないから
いつもの鋲やドクロの。
数少ない無地でモノトーン
のシャツを着回す。

ジャケットは10年ほど
前にデートした女性に
「大人なんだから
 きちっとした服を
 持ってなさい」
と丸井で買わされたもの。
今思うとあれって
いわゆるデート商法?

そのジャケットだが、
一昨年、去年と出稼ぎで
まる2ヶ月ずつ着た後は
クリーニングに出していた。

決して母が夜なべをして
ジャケットのしみ抜きを
したりはしてない。

ただ母はこのジャケットや
母とボクの礼服、それ用
ワイシャツなんかを
クリーニング屋に頼んでは
取りに行くのを忘れて
溜めまくってしまう。

クリーニング屋も受付担当
の問題なのか、新たに
持っていっても、前に
頼んで出来上がっている
ものを出して来ない。

「こんなにあった」

母はたまに何着もの
ビニールにくるまれた
衣類を抱えて帰ってくる
ハメになるのであった。

つづく。