介護予防体操=新しい元気が湧き出す体操
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(37)片膝連続ヒキアゲ体操

(37)片膝連続ヒキアゲ体操


●支える脚・支えられる脚.jpg
 一歩一歩、右・左・右、支える脚・支えられる脚、基底となる脚・働きかける脚… … 。私たちの歩みは左右二つの脚の助け合いによって成り立っています。支えている脚は全体重を足底に受けながら、頭部を含む上体すべてのバランスを役つ役割を担っています。支えられる脚は、働きかける脚で、上に持ち上げた足を前方に踏み下ろすことによって、全身の前方への位置移動をつくり出しますが、そのときには支えた足の後方蹴り出しも行われていて、前方への推進力が生じています。このことを確認した上で、次の体操を考えました。

 「片膝連続ヒキアゲ体操」は通常の歩行動作の一部である膝の引き上げを誇張するとともに、対側肢との交互操作ではなく連続操作とすることで、股関節の体操としたものです。

 膝の引き上げとは大腿骨を屈曲・上挙することです。この引き上げ動作に働く筋肉は、大腰筋と腸骨筋です。大腰筋は第12胸椎・第1~4腰椎体に起始し、大腿骨上端の小転子に停止します。一方、腸骨筋は腸骨内面(窩)から起始し、同じく小転子に停止します。 下図参照


●大腰筋イラスト 節作.jpg

 膝を大きく持ち上げるためには、筋肉の長い大腰筋を用いるのが効果的です。大腰筋が元気であることは、しっかり歩き動作・しっかり走り動作に大切なことです。しかし、人間は歩くとき、走るとき、必要最小限だけしか足を持ち上げません。すなわち、膝を持ち上げる筋肉を最大限に働かせることはしないのです。したがって片膝を連続して意図的に大きく引き上げることは、律動的な動きをともなった運動であり、適正負荷による筋肉活性化を引き起こす強化体操としての意味をもちます。

 「片膝連続ヒキアゲ体操」では、前進歩行をするのに安全で障害物のない平坦なフロアー、廊下、道路などを実施場所に選びます。ごく普通の歩行中に、「右膝上げ・右膝下げ・左脚揃え」を一歩前進の単位として、これを10回連続して繰り返します。つぎには「左膝上げ・左膝下げ・右脚揃え」を繰り返し10回行います。



●片膝ヒキアゲ歩行.jpg

 左右どちらから始めても構いませんが、左右を同じ回数行うのがお勧めです。膝の高さは初めは低くても構いませんが、徐々に高さを上げて、目標を股関節部よりも高くにして下さい。



●片膝連続ヒキアゲ体操 4回 

 必要最小限だけしか足を持ち上げない私たちの歩行動作は、骨盤内部にあって重要な働きをしているにもかかわらず、自らに見えず、感じられない筋肉である、大腰筋の廃用性退化につながり、蹴躓き(けつまずき)という惨めな体力低下を露呈する原因になります。

 二足歩行のできる自らの元気に感謝しましょう。支える脚への感謝、働きかける脚への感謝、そして膝を持ち上げる筋肉への感謝の気持ちを持ちましょう。その具体的な感謝の表明のための「片膝連続ヒキアゲ体操」をお勧めします。

(36)足元確認ペンギン体操

(36)足元確認ペンギン体操

 貴方はご自分の足運びに自信がありますか。しっかりとした足取りで散歩することができますか。背すじを伸ばして、胸を張って、安定した腰から一歩一歩と繰り出す足運び、これがごく自然にできることは嬉しいことです。
001チャップリン 節男作成・・
 さて、著名な映画俳優チャップリンのドタ靴ガニ股歩き、或いはアイススケートの初期練習時のペンギン歩きを、見たり行ったりしたことがありますか。日頃の散策の際に、思い出してちょっとやってみましょう。「足元確認ペンギン体操」です。




●●002ペンギン歩きと 普通歩き


(1)気をつけ姿勢で立ちます。両手の指先はそれぞれの股関節部分に当てます。
(2)二つの踵(かかと)を付けたまま、両足先を左右に開きます。指を当てた大転子(大腿骨上端外側部)の向きの変化が確認できます。
(3)足先が外向きになったままで、一歩ずつ前進歩行します( 10歩)。股関節大転子の動きを確認します。
(4)つづいて、足先前向きの通常歩行を行って、股関節大転子の動きの相違点を理解します。

この(1)~(4)によって、股関節の歩行運動における重要性が確認できます。
 ドタ靴ガニ股歩き(ペンギン歩き)をお勧めしているのではありません。健康増進の一番手法効果的であると考えられている散歩、その際の足元の正しい姿勢を再確認することをお勧めしようとしているのです。
 歩くときの正しい足元は、①つま先を進行方向に向けること、②振り出し足はかかとから着地すること、③足裏の外側が後ろから前に順に地面を押さえること、④母指球が接地した時点で指先を使っての、⑤蹴り出し足とすることと表現できます。


003裸足足運び  


004足裏 ①~⑤ 

 人の足運び(歩様)にはいろいろな様式があります。摺り足(能・狂言の運歩)や忍び足(抜き足・さし足・忍び足)、ケンケン足、スキップ足などです。そして、人の足運びは、馬や牛のような蹄行性ではありません。イヌやネコのような趾行性でもありません。強いて云えば熊のような蹠行性に似ています。
 蹠行性のような足運びをする人間の足には土踏まずと呼ばれるア-チがあります。外がえしも内がえしもせずに、①②③④⑤のうちの③④のときにアーチの外側にしっかりと体重をかけて踏み込むのがいいのです。    
 ペンギン歩きとは膝を伸ばしての踵歩きのような歩き方で、望ましい足運びではありません。また、ペンギン歩きの足先外向き(外輪:そとわ)とは逆に歩く内股歩きをする人もよく見かけます。足先外向き(外輪:そとわ)・足先内向き(内股:うちまた)歩きは、足首関節を捻っての足運びで、下腿骨・大腿骨を外旋・内旋させ、膝関節に捩れ的負担をかけることになります。さらに股関節が捩れると、骨盤の後傾や前傾を招き、脊柱に歪みが生じることになります。
 歩くとは左右の足を交互に前へと移動させる足運びですが、その際の足元の使い方(動作)に不自然な点があると、無自覚のうちに心理的な不安定さを呼び起こすことにもなります。
 背すじを伸ばして、胸を張って、安定した腰を基盤として、一歩一歩を悠然と繰り出す散策途中に足元を見つめ直すことが時に大切なことだと思い直して下さい。
 人間らしい二本足での歩きに、美しい自らの心とからだの姿勢を再確認したいのです。 





 

(35)口元環境サッパリ体操


(35)口元環境サッパリ体操

 上唇と下唇、その間に見える白い歯、そのあたりのことを口元といいますが、その奥には人間が生きるためにとても大切な構造物と空間があります。ここでは、それらを可愛く「口元環境」と呼ばせていただきます。
 まず、口元環境がもつ大切なはたらきと、そのための構造などを確認して下さい。


●口元環境がもつ大切な事々


●口元環境がもつ大切な構造


 さて、この口元環境をサッパリとした気持ちの良い雰囲気にする小さな一連の動作を、「口元環境サッパリ体操」と名付けました。上顎部分の表側面を3部分、その裏側面を3部分、下顎部分の表側面を3部分、その裏側面を3部分に分けます。3つずつというのは、からだの部分への気づきというせっちゃんの体操の基本に見合うものです。
 ここで「口元環境サッパリ体操」の対象となる口腔環境3部分の構造をさらに詳しく説明します。この部分の理解が乏しいと、正しく体操ができないからです。
 ①歯冠・歯間隙・歯間乳頭部:
   歯冠は外部から見える白い歯並び部分、歯間隙は爪楊枝でせせるところ、歯間乳頭部は歯と歯の隙間の盛り上がった部分のことです。
 ②歯肉自由部・歯槽隆起部:
歯肉自由部は俗に歯茎と呼ばれる肉色の粘膜様の部分、歯槽隆起部は筋の起始部となる部分のことです。
 ③歯槽部粘膜・口唇粘膜部:
歯槽部粘膜は通常の開口時には見えない部分で、口唇粘膜部は歯茎の向かい側に相当する部分で、この間は歯槽ポケットと呼ばれる窪みになっています。

以下の4つの模式図をご覧下さい。


上下歯並び


口腔内部(下顎)部分


下顎歯列:唇内側・歯外側の3部分

上顎歯列:歯内側の3部分

◎「口元環境サッパリ体操」(口腔環境3部分の自己確認):3手法
(手法 1)上述した①②③の部分を、まず自分の舌先で確認します。
  上顎歯列の唇内側・歯外側の3部分を舌先をひっくり返して触り、確認します。上顎歯列の歯内側の3部分は舌先を縮めて触り、確認します。同様にして、下顎歯列の唇内側・歯外側の3部分、下顎歯列の歯内側の3部分を触り、確認します。
(手法 2)つぎには、舌先で確認した上顎歯列歯外側、上顎歯列歯内側、下顎歯列歯外側、下顎歯列歯内側のそれぞれ3部分を、自分の指先で触れて確認します。
(手法 3)歯を磨くブラシを使って、前述の4カ所3部分を、マッサージします。人目につきやすい白い歯だけを磨くのではありません。柔らかな歯肉や粘膜部分に物理的な刺激を与えて、血行を良くし、感覚の活性を促すのです。したがって、歯磨き粉類は使いません。刺激によって生じる唾液などは、自然に嚥下します。
☆「口元環境サッパリ体操」を手法1でお始め下さい。手法2は確認のためのものです。手法3で口腔内を傷つけることがないことが確認できれば、毎日の楽しみ体操としてお続け下さい。



○「口元環境サッパリ体操」と「歯ブラシ式歯磨き」の相違点
  介護の場面で口腔ケアという言葉が使われ、介護者が要介護者の口腔内をブラッシングなどで清掃してあげることは知られています。この際のブラッシングはややもすると、歯ブラシでの歯磨きが連想されて、歯冠の美的輝き、歯間の歯垢や食物残渣撤去、口腔細菌の減少などが主眼となっているように感じられます。
 私たちは日頃から生活習慣としての口腔ケア、すなわち口腔清掃を自分自身で行っています。そこでは、歯茎の炎症、歯周病、口臭、虫歯などを予防しようとしています。
 しかし、介護予防体操という立場から考えると、「歯ブラシ式歯磨き」だけでは口腔内の充分な環境浄化と活性化は不十分だといえます。歯列を支える歯槽の周辺を、より広範に、より丁寧にマッサージすること、すなわち、体操的に自らが局所メンテナンスする「口元環境サッパリ体操」が必要なのです。


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