補論2-4 台湾地位未定論への反論 中華人民共和国の立場 | 中国について調べたことを書いています

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④台湾地位未定論への反論 中華人民共和国の立場

一方、中華人民共和国も一貫して否定の立場である。以下は、2021611日に新華社が掲載した武漢大学の周叶中・黄志雄の署名論文「『台湾地位未定論』の鼓吹は失敗するに決まっている」という文章からの引用である。

 

「先日、民進党当局はいわゆる『台湾地位未定論』をわめきたて、不法で無効な歴史の紙くずを持ち出して耳目を惑わし、国際社会が公認している一つの中国の原則に挑戦しようとしている。しかしこの古臭いたわごとには国際法の法理の根拠がなく、歴史のゴミために掃き入れられるに決まっている。

2021.6.11 新网 鼓吹台湾地位未定注定失

http://www.xinhuanet.com/tw/2021-06/11/c_1127553017.htm

 

かなり激しい言葉で民進党の台湾地位未定論を否定している。中国共産党政権は、台湾は中国の一部だとする立場であるから、地位が未定であるなどとする論が受け入れられないのは当然である。中国は、問題となっているカイロ宣言、ポツダム宣言、サンフランシスコ講和条約については、以下のように述べている。

 

「カイロ宣言」「ポツダム宣言」と日本の降伏文書などの法律文書によって、台湾が中国の領土であるという地位は反論の余地なく確立されている。誰もが知っているように、台湾と澎湖列島は古来より中国の領土の一部分である。・・・・「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」は台湾が中国に返還されるべきだという地位を確定し、日本も降伏文書でこれを受け入れた。上述の法律文書はひとまとまりのものとして、戦勝国と敗戦国の間の領土主権についての権利義務関係を確定した。19451025日、中国政府はこの日より台湾と澎湖列島を取り戻し、台湾に対する主権の行使を恢復した。

2021.6.11 新网 鼓吹台湾地位未定注定失

http://www.xinhuanet.com/tw/2021-06/11/c_1127553017.htm

 

中華人民共和国にとって、台湾は古来から中国の領土であること、カイロ宣言、ポツダム宣言と日本の降伏文書によって台湾が中国に返還されたこと、この2点は決して譲ることはできないということである。つまりカイロ宣言で中華民国=中国に返還された台湾は、1949年に中国を代表する政権である中華人民共和国=中国の領土となったということである。

一方で、サンフランシスコ講和条約については、以下のように述べている。

 

「「サンフランシスコ講和条約」は台湾に関する内容が不法で無効であり、「台湾地位未定論」のいわゆる「法的根拠」として引用されてはならない。公認の国際法の原則に基づいて、1949101日から、中華人民共和国中央人民政府は中国の唯一の合法政府となり、「中華民国」政府は中国を代表するいかなる合法的な地位を持たなくなった。しかし、新中国が不法に参加機会を奪われた状況で、アメリカは195194日に関係国を集めてサンフランシスコでいわゆる「対日講和」を開き、いわゆる「サンフランシスコ講和条約」を作り上げた。この講和条約は1942年中、米、英、ソ連など26カ国が署名した「国連宣言」の「各署名国政府は単独で敵国と停戦したり講和したりしてはならない」という規定に違反しただけでなく、中国の合法的な領土を中国の意図に反して処理していることは、国際法の基本準則を公然と踏みにじったものだ。「ウィーン条約法条約」は、「条約は第三国の同意を得ず、その国のために義務または権利を創設してはならない」と規定している。「サンフランシスコ講和条約」が台湾の主権帰属など、いかなる中国の合法的権益も処理する権利を持っていないのは明らかであり、関連する条文は国際法のいかなる効力を持たない。

2021.6.11 新网 鼓吹台湾地位未定注定失

http://www.xinhuanet.com/tw/2021-06/11/c_1127553017.htm

 

台湾地位未定論者が「日本が放棄した台湾と澎湖島がどこに帰属するのか、サンフランシスコ平和条約は何も決めていない」としてサンフランシスコ講和条約自体は認めているのに対して、中国はサンフランシスコ講和条約自体を否定しているのである。この論文は最後に以下のように述べている。

 

「要するに、国際法の観点から見ると、台湾と澎湖列島が中国の領土構成部分であるとする地位は「カイロ宣言」、「ポツダム宣言」、日本の降伏書によって確認され、鉄のような事実となっている。「サンフランシスコ講和条約」の台湾に関する条文はいずれも中国にとっては無効であり、この文書を台湾主権の帰属を確定する法律的根拠として取って代えることはできない。歴史は改竄を許さない世界には一つの中国しかない。台湾は中国の一部である。両岸は同じ中国の歴史と法理の事実に属し、いかなる人もいかなる勢力も変えることはできない。どんな「独立」の手口を弄しても、不法で無効だ。すべての祖国を分裂させる行為と手口は失敗するに決まっており、人民の非難と歴史の懲罰を受けるだろう。

2021.6.11 新网 鼓吹台湾地位未定注定失

http://www.xinhuanet.com/tw/2021-06/11/c_1127553017.htm