(補論2) 台湾の国際的な地位について
次に台湾の国際的な地位について考えてみよう。台湾の国際的な地位と国家成立はどのような関係にあるのだろうか。
一般に日本では、戦争中日本の植民地だった地域(「本州、北海道、九州、四国、諸小島」以外の地域、つまり満州や朝鮮半島、台湾、南洋諸島など)の扱いは1943年のカイロ宣言、1945年のポツダム宣言、1952年のサンフランシスコ講和などによって決まったとされている。そのうち台湾についていえば、カイロ宣言で「満洲、台湾及び澎湖島のような日本国が清国人から盗取したすべての地域を中華民国に返還する」とされ、ポツダム宣言第8項で日本は「カイロ宣言の条項は履行せらるべく」として、サンフランシスコ講和条約第2条(b)で「日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」としているのだから、台湾は中華民国に返還されたのだ、とすると考える人が多い。
しかし、台湾の国際的な地位についてはさまざまな意見がある。
大きく分ければ、台湾の地位は既定であるという意見と未定であるという意見に分かれる。
既定であるとする代表的な意見は中華人民共和国と中華民国の意見である。それぞれ、台湾島は自らの領土だとしている。
一方、未定であるとする意見(台湾地位未定論といわれる)は、アメリカがこれを支持する立場であり、また台湾の独立を主張する人たちによっても主張されている。
4章で検討したハーゼルの意見は、この中間に位置するともいえる。ハーゼルは「アメリカの軍事占領下にある」としており、そういう意味では地位は既定である。しかし、この軍事占領下の台湾を、ずっとこのままアメリカの軍事占領下においておくというのにも反対している。
・既定論 中国・・・中国の領土 台湾・・・中華民国の領土 ハーゼル・・・アメリカ軍事占領下にある ・未定論 アメリカ 台湾独立派 ・判断する立場にない 日本 |
まず、このアメリカの意見と、台湾独立を主張する人の意見を見てみる。
次に、この意見に反対する立場として、中華人民共和国と中華民国政府の立場を見てゆく。
さらに参考までに日本の立場も見てみることにする。
まとめとしてこれらの意見を整理してみたい。