補論1 国家として成立するとどうなるのか | 中国について調べたことを書いています

中国について調べたことを書いています

1.中国広東省の深セン経済特区の成立過程
2.香港・六七暴動
3.農業生産責任制と一人っ子政策
4.浦東新区から雄安新区へ
5.尖閣問題の解決策を探る
6,台湾は国家か

補論1 国家として成立するとどうなるのか

ここまで国家承認について考えてきたが、国家か国家でないかを決めることがなぜ大切なのかを考えてみたい。

 

 他の要件がすべて満たされていて、承認だけで国家か国家でないかと決まるとしたら、国家であるかないかは、一部の既存国家の主観的な判断によって決まってしまうことになる。ここにはかなり政治的な判断やイデオロギーによる判断がかかわってくることになる。つまり、人口や面積、経済規模などがほぼ同程度の2つの政治実体があっても、一方が国家であるのにもう一方が国家でないという現象が起きることになる。

 

 また、承認なくして国家が成立するとしたら、その承認なくして成立した国家というのは、どんな意味があるのだろうか。承認がなくても国家として成り立つなら、なぜ承認に有無によって国家によって国際社会での位置づけが大きく異なってしまうのだろうか。

 このように考えていくと、国家として成立することはいったい何をもたらすのだろうかという問題に行き着くように思う。国家として成立することと、しないこととの間には、いったいどんな違いがあるのだろうか。ここではそれを少し検討しておきたい。もしそこに積極的な意味や違いがないのであれば、国家であることにこだわる必要はないという考えがあってもいいはずである。

 

 そして、台湾の現在の状況というのは、まさにそういう考え方の反映なのではないかと思うのである。