(5-2-3)「交渉で解決」案と「ICJ提訴」案 | 中国について調べたことを書いています

中国について調べたことを書いています

1.中国広東省の深セン経済特区の成立過程
2.香港・六七暴動
3.農業生産責任制と一人っ子政策
4.浦東新区から雄安新区へ
5.尖閣問題の解決策を探る
6,台湾は国家か

『オ.交渉で解決』案

この案の最大のリスクは、交渉が日本の望む形で進まないことである。交渉をするならば、日本の主張が100%通ることは考えにくい。分割や共同管理などを受け入れなければならないかもしれない。

さらに国内世論も大きなリスクとなろう。もし領土を分割したり、共同管理をしたりする場合、一部で過激な世論が沸騰するだろう。一部の者が尖閣諸島を奪回しようとしたり、日本にある中国資本の会社や中国人などに大規模なデモをしかけたり、更に過激な動きを起こす可能性もある。「妥協をすると中国がつけあがる」「尖閣諸島を譲ったら次は沖縄をとられる」「尖閣問題で妥協すれば中国の海洋進出を助長し、脅威が増す」という疑問や不安も巻き起こるだろう。「愛国心や国家の威信」といった国益が大きく傷つけられる可能性もある。積極的評価で2点を付けた項目の多くを1点または0点にした。

さらにはアメリカの意向も大きな不確定要素になりうる。アメリカが日本と中国の現状維持を強く望み、交渉を望まない場合、中国有利な交渉結果になれば、アメリカは強く反対するだろう。

 

『カ.ICJ提訴』案

 国際司法裁判所への提訴も、実効支配をしている日本に有利だと考えられはするが、裁判は100%の勝訴はあり得ない。日本の主張にも弱点がある。「先占」による1895年1月14日の沖縄への編入が、同年4月17日の下関条約の結果の台湾の日本への譲渡と同時期に行われた点や、「先占」という考え方自体が帝国主義的な考え方に基づいているなどの主張である。こうした点を突かれれば、譲歩を迫られる可能性も高い。さらに敗訴の可能性すらある。その結果、領土を失う恐れがある。

 また、たとえ尖閣諸島の日本の領有を認めさせたとしても、国境や排他的経済水域、資源で妥協を迫られることも充分に考えられる。点数では「法の支配」アピールを除けば『オ.交渉で解決』案と変わらない。ただ、こちらのほうが国内的には受け入れやすいかもしれない。