国税当局に激震が走っている。今年に入って消費者金融大手『武富士』創業者の長男による贈与税取り消し訴訟で最高裁にて敗訴が確定。

そこへきて同じ「贈与税取り消し訴訟」で再び敗訴、しかも今度は原告が「7歳児」だというのだ。

「大手教育系出版社『中央出版』(本社・名古屋市)元会長の孫の男児が課税取り消しを求めた訴訟の判決がそれです。

孫側は元会長から財産を贈与されたとして贈与税など計約3億1000万円を追徴課税されたのは違法だとして、国に処分取り消しを求めていたが、このほどその訴えが名古屋地裁で認められた。

もちろん担当弁護士がついているが、原告が7歳というのはおそらく国内最年少。

大震災の影響でほとんど報道されませんでしたが、税務史に残るビッグニュースであることに違いはない」(地元社会部記者)


 判決などによると、元会長は米国の信託会社に保有財産の一部を預けた。

信託会社は生命保険を購入し、保険金が孫に支払われる形になっていたという。

これを国税側は贈与にあたると指摘したが、裁判所に退けられた格好だ。
 
国税当局としては「相続税徴税強化」を打ち出した矢先での連敗となった。


「ここ数年、生命保険商品を使った節税策が横行しているため、国税は監視網を強化。

疑わしい案件は"勝負に出て"課税するという流れがあった。

一方、金融機関や保険会社は富裕層のニーズをとらえようと、節税商品の開発に鎬(しのぎ)を削っている。

今回の判例が最高裁までもつれ込んで結果として認められれば、保険商品を使った節税行為に拍車がかかることになるでしょう」(ベテラン税理士)

 さらに国税敗訴の影響はさっそく税収を直撃している。

武富士裁判では、敗訴をもって約2000億円という税金が払い戻しされたが、「それが原因となり、最新の税収実績(2月分)によれば、贈与税を含む相続税収は記録が残る1960年以降で初のマイナスとなった」(国税OB)のだ。

 徴税権力が「税収減」を招いては、元も子もない。