昨日のテレビのニュースで、ヨーロッパのEUに、「セキュリティーホールの中国・ロシアによる大穴を開けた」ニュースが報道されていた。
内容は、「ハンガリー問題」と呼ばれる、かなりややこしい「中国のステルス侵略」の問題なので、順番に説明していく。

<中国が勝手にどんどん作っている海外の警察拠点設置問題>
もともと世界中の海外で問題になっていた事案は、「中国が勝手にどんどん作っている海外の警察拠点設置問題」というやつで、次のように、見つけ次第、海外では、こうした中国人拠点を逮捕している。

(ニューヨークで初摘発された中国秘密警察の実態)
https://www.fnn.jp/articles/-/516429
『中国非公式警察の実態
米司法省は、4月17日、ニューヨーク・チャイナタウンの雑居ビルに入居していた中国「非公式警察」の関係者であるニューヨークに住む中国地方郷友会を運営してきた男2人を逮捕したと明らかにした。
逮捕された2人は、反体制派の中国人を探し、脅迫することを専門に活動していたという。
また、米司法省は、ソーシャルメディアプラットフォームに大量の偽アカウントを作成し、偽情報や嫌がらせの情報を拡散する情報工作組織を運営したとして、34人の公安部職員が起訴したことを発表した。
中国の非公式警察拠点は、中国当局が在外中国人を監視、または強制帰国させるため、日本を含む欧米諸国53カ国、102カ所に非公式警察の拠点を設置。一般団体・企業や中華料理店などに偽装し、はたから見れば通常の企業や団体としての活動を行っている。

(中国非公式警察の日本拠点とは)
これまでの外務省などの発表によれば、日本国内に2カ所の非公式警察が存在するとされている。
1つは東京都秋葉原、そして2つ目は福岡である。
東京都秋葉原の拠点は雑居ビルに所在し、最上階には中国福建省の名前を関した社団法人が所在する。
福岡の拠点は、江蘇省南通市公安局が設置したとされ、同拠点には一般企業が入居し、前代表が人民解放軍の関係者であった。
そして、上記の拠点以外にも銀座、名古屋、大阪に拠点が存在すると推察される。
前述の米国で検挙された男は中国地方郷友会を運営しており、日本の拠点も含め、非公式警察と同郷団体・経済団体等との関連性が共通点としてあげられる。

(千粒の砂戦略)
また、非公式警察の任務は属人的に与えられている場合もあり、彼らの組織内でも非公式警察の任務を関知している人物はごく一部である可能性がある。つまり、善意の人間・団体に隠れて活動している可能性があるのだ。
このように、善意の人間を隠れ蓑にする手法は、中国の千粒の砂戦略(※)にも共通している。

(※千粒の砂戦略:ロシアのようにスパイによる典型的な諜報活動ではなく、人海戦術のごとく、悪意・善意問わずビジネスパーソン・留学生・研究者など多種多様なチャネルを使用し、情報を砂浜の砂をかき集めるように、情報が断片的であろうとも広大に収集する戦略)』

(日本にある中国の「警察拠点」がコロナの持続化給付金をだまし取っていた事が発覚して逮捕)
https://www.zakzak.co.jp/article/20240221-GU6NE5NZY5OZ5JSLWQZDECL33A/

<大前提として知っておかなければいけない、中国人の海外の政治工作活動拠点と活動方針>
(中国が世界各国内に勝手に作っている政治工作組織『海外110番』)
https://www.worldtimes.co.jp/opinipn/editorial/20221205-167089/

(中国の『統一戦線工作部』という情報工作機関)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72499

<中国の工作機関>
・統一戦線工作部(中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD))
・中国が世界各国内に勝手に作っている政治工作組織「海外110番」
・孔子学院など(中国が海外の「一帯一路」に参加した国の中に作っている「中国共産主義思想教育の脳への刷り込みをしているプロパガンダ施設」。アメリカは、「ここで、世界各国内に、中国共産主義の政治工作員育成機関になっていると指摘している)

<中国の工作員や軍人の工作活動の関連法律>
・中国の法律「国防動員法」(中国の有事の時には、海外に居住する全ての中国人を含む中国人全てや、中国の企業は中国共産党の命令で行動し、当然、中国軍が利用する事を可能にする法律)
・中国人民解放軍政治工作条例
・中国の「反スパイ法」強化改正

<今必ず目を通して情勢を把握しておかないと極めて危険な世界時事ニュース>
(1) ((ロイター,2022年9月16日)上海協力機構、「カラー革命」防ぐために協力を=中国国家主席)
https://jp.reuters.com/article/uzbekistan-sco-xi-speech-idJPKBN2QH0S2
『中国の習近平国家主席は16日、ウズベキスタンで開かれている上海協力機構の首脳会議で演説した。旧共産圏で発生した民主化運動「カラー革命」が外国勢力の扇動によって引き起こされることがないよう、加盟国は協力する必要があると訴えた。』

(<Wikipedia>カラー革命)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%B2%E3%81%AE%E9%9D%A9%E5%91%BD
『2000年ごろから、中・東欧や中央アジアの旧共産圏諸国で民主化を掲げて起こった一連の政権交代を指す。
色の革命の実例として挙げられるのは、ユーゴスラヴィア、特に2000年のセルビアにおけるブルドーザー革命や、2003年グルジアのバラ革命、2004年ウクライナのオレンジ革命、そして暴力が多く用いられたが、2005年キルギスのチューリップ革命がある。いずれも問題とされていた選挙の結果を受けて大群衆が街頭で抗議行動を実施し、反体制派から独裁者とされていたそれぞれの国の指導者の辞任や打倒につながった。これ以前の中東での戦争、この後の「アラブの春」との関連性も、注目をあつめている。
こうした、「民主化などを望んで民衆が暴動を起こし政府を転覆させてしまう民衆暴動」の多くが、何らかの「色」をデモ隊のモチーフとして使用する事が多い事から、全部をひっくるめて、「カラー革命」と呼ばれるようになった。』

前から何度も書いているが、
・「中国、ロシアの主導で、上海協力機構というのが、「カラー革命」防ぐために協力して行動する」という方針があります。
この意味は、「カラー革命」=「民主化を声高に叫ぶ人物は、テロリスト扱いとなるので、殺害、逮捕、拘束、非公開裁判ののちに死刑など簡単にやっていいですよ」という方針の事で、すでに、「日本人をはじめ、中国国内で活動する外国の企業の人物が、いきなり逮捕されたり、どんどんするように変わった」ので、それで、「このあまりにも危険過ぎる中では、もう中国国内に外国の企業を置いて活動する事は、邦人の危険性が甚大過ぎて無理だ」として、中国からどんどん撤退する動きとなっていて、それで、どんどん中国の株からの撤退や、「中国を国際社会から切り離すデカップリング」への強い動きとなっているというわけです。
ちなみに、「カラー革命」というのは、「今のウクライナのゼレンスキー政権も含まれる」
この
・「中国、ロシアの主導で、上海協力機構というのが、「カラー革命」防ぐために協力して行動する」という方針
があるので、「ヨーロッパは中国に出資して、中国国家を儲けさせると、ロシアと中国の共同戦線に結果的に力を貸す事になるので、ロシアのヨーロッパ侵攻を中国を儲けさせると支援する事になる」という構図なわけです。

このような感じの「中国人による海外での政治工作活動拠点問題」があったのですが、イタリアとハンガリーの政治家があまり頭が良くなかったので、前回は、
・イタリア政府が、イタリアと中国の警察による合同パトロール実施許可を出した。
という感じで、正式に国家として許可を出してしまった問題があった。
その後に、欧米の諜報機関から、イタリア政府に、「中国人による内政干渉など、極めて危険な判断だ」と警告を出されて、現在は、この「イタリアと中国の警察による合同パトロール実施許可」は禁止になった。
「中国人による内政干渉など、極めて危険な判断だ」という警告の意味は、「海外の国内で、中国警察が活動をできるという事は、"中国の法律で行動できる"ので、事実上、どんどんそういった中国政府のステルス侵略の策略を受け入れていってしまった国家は、事実上、中国領と同じになっていく」という危険性からです。

<今回のヨーロッパ、EU、NATOに関係する「ハンガリー問題」とは何か>
馬鹿な事に、前回ようやく、
・イタリア政府が、イタリアと中国の警察による合同パトロール実施許可を出した。
という「ヨーロッパ、EU、NATOに中国があけたセキュリティーホール」を欧米の諜報機関から、イタリア政府に、「中国人による内政干渉など、極めて危険な判断だ」と警告を出されて、禁止にして、ようやくふさいだのに、また今度は、
・ハンガリー政府が、ハンガリーと中国の警察による合同パトロール実施許可を出した。
のです。

((朝日新聞)中国警察がハンガリーで合同パトロールへ 在外中国人調べる狙いも)
https://www.asahi.com/articles/ASS3J66BZS3JUHBI00M.html
『ハンガリーのオルバン首相は2024年2月中旬、ブダペストを訪れた中国の王小洪公安相と会談し、両国が治安維持で関係強化を図ることで合意した。
ハンガリー政府は、同国で中国の警察と合同でパトロールを始めることを明らかにした。近年、中国から大型投資が相次いでいるが、治安維持の面でも関係強化に踏み込む。欧州では安全保障などの観点から対中関係の見直しを進める動きが広がるなか、中国とハンガリーの接近ぶりが目立っている。』

EU圏内のシェンゲン協定加盟国内は、「国境検査なしで国境を越えることを許可する協定」の事なので、これで、中国の政治工作活動をする犯罪者達は、事実上、「ヨーロッパ、EU、NATOに中国があけたセキュリティーホール」となってしまい、かなり自由に政治工作活動ができるようになってしまった。
問題なのは、現状だと、「中国・ロシアの共同行動」から、これらの中国人政治工作員の活動は、ロシアと共有される可能性が高い時期に入ってきており、おそらく、今後のヨーロッパでは、「中国共産主義、ロシア社会主義の工作員やスパイによる暗殺事件多発」の時期に入っていくと見られている。
プーチン大統領自体は、「NATOとロシアが戦争するといったデマは馬鹿げている」と発言している。

(ヨーロッパ、EU、NATOに関係する「ハンガリー問題」のややこしさ)
ハンガリーのオルバン首相は、あまり頭がいい人物ではないので、「中国が資金援助してあげる」というたびに、どんどんGOサインを出してしまって、「スリランカ」のように、「ハンガリー」も事実上の中国領として盗られてしまう事が危険視されている。

<「中国が資金援助してあげる」と言う「ハンガリー問題」>
(1) 「ハンガリー・セルビア高速鉄道」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/06/7d7792ef824d0150.html

昔、EUがギリシャ財政難の時に、ギリシャを見捨てたので、その隙をついて、
・中国が、ギリシャ、アテネのピレウス港を盗ってしまった。
この「ギリシャ、アテネのピレウス港」から、「ハンガリー・セルビア高速鉄道」をつなげる形で、中国政府は、「一帯一路」を伸ばそうとしている。
実際には、中国が言っている「一帯一路」というのは、「貿易路」の事ではなくて、「中国にしか見えない領域を南沙諸島問題などのようにして、大量に作る中国犯罪密輸ルート構築」といった意味合いの方が正確な言い方になる。
実際、ウクライナ戦争以降の「ロシア原油は、中国を経由して、事実上の中国領の港となっているギリシャのピレウス港から、ヨーロッパ全体へ運ばれている」
こうした中国が海外で行っている過剰な乱開発地域で、事実上、中国領にしてしまったエリアの中に、次の段階で、中国マフィアが入り込んでしまい、中国マフィアの「見えない活動拠点」となっていて、現地警察でも逮捕できない、日本や世界中への、オレオレ詐欺、フィッシング詐欺拠点や、臓器売買や売春拠点などとなってしまっている。

(中国がハンガリーで造る「契約10年機密」)
https://globe.asahi.com/article/14018187
『中国はEUに加盟するハンガリーとの関係を重視している。人権や南シナ海をめぐる問題にかかわる対中批判などの決定で、すべてのEU加盟国の一致が必要になる場合、ハンガリーの反対票で退けられるからだ。いっぽう、言論や人権問題に権威主義的な傾向をもつオルバン氏にとっては、独裁体制の中国が内政に「法の支配」などの条件をつけずに落とすカネは好都合である。こうして権力者どうしの関係が築かれていく。
まるで東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるカンボジアのようだ。中国は自らに都合の悪い決定を、親中を隠さないカンボジアを通じて封じ込めている。

(「習兄さん」がゆさぶる欧州)
「ありがとう習兄さん」。セルビアの首都ベオグラードで2020年春、中国の国家主席習近平氏が描かれた大きな看板が登場した。現地語と中国語で感謝の言葉が添えられている。「コロナ外交」を展開する中国はセルビアに対しても、医療チーム、マスク、防護服などを届けた。中国企業の寄付のかっこうをとって、簡単に組み立てられて新型コロナの検査などに使えるラボ「火眼」も欧州の国としては初めて送った。遺伝子解析で有数の中国企業が生産しているものだ。米国など先進国の一部からは、中国は「火眼」の普及を通じて世界中から遺伝子など個人情報を集めようとしているのではないか、と警戒する見方も出ている、いわくつきの施設である。』

という感じで、「中国・ロシア共同戦線」は、「ハンガリー1カ国が反対票を投じてさえくれれば、ヨーロッパ、EU、NATOなんかは、即座に活動封鎖に追い込める」

(2) <ハンガリーに中国の大学を建設する問題>
(ハンガリーの首都ブダペストで、中国の名門大学、復旦大学(Fudan University)のキャンパス建設計画に反対するデモ行進が行われ、約1万人が参加した)
https://www.afpbb.com/articles/-/3350391

もともと、この問題は、「孔子学院」問題と呼ばれていたタイプで、現在では、世界中の国々から、「孔子学院」は永久追放処分となっている。

(政府、孔子学院の実態把握へ…欧米は「中国のプロパガンダ機関」と規制強化)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210531-OYT1T50143/

「孔子学院」というのは、中国の政治工作機関の1つで、アメリカのFBIなどが逮捕している。
「孔子学院」というのは、日本や世界中の主に、大学のキャンパス内の敷地内に、その大学に、「資金を出してあげる」などといって建設許可をもらって設置している施設で、表向きは、「中国語教室、中国の文化教育」施設なのだが、FBIの捜査で、その活動実態は、「海外の中で、中国共産党寄りの工作員の育成施設である」という事がわかって、現在では、世界中の国々から、「孔子学院」は永久追放処分となっている。
日本国内の大学のキャンパス内にも、「孔子学院」は大量にすでに設置されてしまっているし、日本国内の大学のキャンパス内で、「旧統一教会などの韓国系カルト教団の勧誘」なんかも、大々的に行われているが、日本の大学キャンパス内は、ある意味、警察が侵入できない安全犯罪活動拠点なので、日本は、なかなか逮捕できないでいるという馬鹿な事をしてしまっている。
もともとは、このように、中国の政治工作機関の1つで、「中国共産党寄りの工作員の育成施設」というのは、「孔子学院」のような小さい拠点だったのが、
・ハンガリーに中国の大学を建設する問題
・ハンガリー政府が、ハンガリーと中国の警察による合同パトロール実施許可を出した。
という感じで、ハンガリーは、スリランカの事実上の中国領よりも酷い、「ハンガリーは警察、ハンガリー人の子供達の教育も中国共産党教育の刷り込みとなり、ハンガリー人の自治権は消失していく」であろう傾向が出てくるはずで、「ヨーロッパ、EU、NATOに中国があけたセキュリティーホール」は、かなり巨大な穴となるようで、今後の「中国・ロシア共同戦線」の大勝利となる布石となっている。
もう「ヨーロッパ、EU、NATO」の意思決定は、ハンガリー1国さえ反対票を投じてくれれば、ほぼ機能不全に陥らせる事が可能で、何もしなくても、ヨーロッパは、中国共産主義・ロシア社会主義の方針で行動せざるを得なくなる所に追い込まれていく。
そうなると、「中国のデカップリング」という「中国を世界経済から切り離す」という事をやらざるを得なくなるだろう。