道歌 恋の歌(12) 心の月で闇に迷う人を照らす(近江聖人 中江藤樹) | タロット占い&道歌・恋の歌 ~海棠 わき~

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現在はタロット修行中でタロット投稿多めですが、道歌やおみくじの歌投稿も頑張ります!

出所)Adobe Stock JT Fishermanさんの画像に加筆  

 

 

いかで我が心の月をあらはして

闇にまどへる人をてらさむ

                                近江聖人 道歌

 

 

どうにかして、私の心の中にある月

明徳、良知の光を現し出して

                     

心の闇に迷っている人々の生き方を照らし

導いて行きたいものである                                

参考)近江聖人・中江藤樹2,「永遠の武士道」研究所所長 多久善郎ブログ

 

      

 

師匠
 

これは、近江聖人(おうみせいじん)と呼ばれた、中江藤樹(なかえ とうじゅ)が詠んだ道歌である。

 

 

わきちゃん
 

中江藤樹(1608-1648)は、近江の国(現在の滋賀県)出身の江戸時代初期の儒学者です。

 

 

 

現代訳の中に聞きなれない言葉が入っていますが、いろいろな資料を読んでみて、明徳(めいとく)、良知(りょうち)、心学は以下のような意味と認識しました。

良知:人に先天的に備わっている正しい知恵のこと
明徳:心の月。人が生まれながらに持っている徳、正しい心
心学:中江藤樹の教えそのもの

 

 

緑ヶ丘・第二幼稚園 最新かがやき日記」にわかりやすい説明がありますので、引用します。

 

すべての人間は、「明徳」という、孔子や孟子とおなじ心を天から与えられているのですが、だれもそのことを知らない。その与えられた輝かしい心をくもらさないようにすることが、よき社会を築きあげる根本だと説いています。

輝かしい心、すなわち「明徳」を「こころの月」と表現しています。「こころの月」とは、『良知』であり、『心学』を意味します。「やみ」とは、私利私欲によって『良知』をくもらした心をいいます。

参考)「節分に考える…中江藤樹の「明徳」とは?」、緑ヶ丘・第二幼稚園 最新かがやき日記

 

この道歌にある心の闇とは、私利私欲によって良知をくもらせてしまった心なのですね。

 

 

ところで、中江藤樹とはいったいどんな人なのでしょうか。

 

クローバークローバークローバー

 

 

はい、この方が中江藤樹さんです。近江聖人中江藤樹記念館 館長 中江彰さんの資料から拝借いたしました。

 

出所)中江藤樹像「近江聖人中江藤樹」
          滋賀文化財教室シリーズ[185]、藤樹書院蔵

 

 

 

中江藤樹は日本における、陽明学の開祖とされており、多くの徳業によって、没後に「近江聖人」とたたえられた人物です。

明治20年代から30年代にかけて出版された教科書では、中江藤樹の教えが、「修身」「歴史」などの科目で頻繁に登場していたそうです。

 

 

藤樹は近江の国の小川村の家に生まれ、9歳(一説には6歳ともあります)で祖父の家に養子に出されました。祖父は自分の後継者として学問をさせるために養子に迎え入れたのです。

 

 

わきちゃん
 

とても賢い子だったから養子に選ばれたのだろうけれど、それにしても勉強のために9歳で親元から離されるとはえーん

 

 

 

祖父の見込んだとおり、藤樹は優秀なうえに、猛烈に勉強しますが、27歳のときに生みの母への孝行と自分の健康上の理由のために無断で脱藩して元の村に戻り、浪人となります。

 

そして浪人となった藤樹は自宅を私塾として開き、41歳という若さで亡くなるまでの14年間、数多くの門人を育てました。

 

クローバークローバークローバー

 

 

 

中江藤樹は陽明学の祖と言われているけれども、簡単に言うと藤樹の教えはどんなものだったの?

 

 

陽明学は、中国明代に[王陽明を号した](1472~1528年)が唱えた「心」がすべてのもととする考え方です。37歳の時、陽明学に触れ、それこそが自分が探し求めてきた考え方生き方であるとし、(藤樹は)それを日本の歴史風土や当時の政治体制に合わせて解釈し人々に紹介しました。その際、全ての人にわかりやすく伝えるために、多くの工夫をしています。例えば、「致良知」や「五事を正す」というのがそれです。

      出所)公益財団法人 中江書院、中江藤樹

 

師匠
 

琵琶湖の三井寺ホームページの連載「いのりの原景」にも、藤樹の教えについてとてもわかりやすい説明があるぞ。

 

 

良知にいたるには、日常、五つのことを心がければいいという。なごやかな顔つきをし、思いやりのある言葉で話しかけ、澄んだ目でものごとを見つめ、耳を傾けて人の話を聴き、まごころをもって相手を思う。何より正直であることが大切と説く。

  出所)三井寺 連載「いのりの原景」中江藤樹の教え

 

 

 

わきちゃん
 

陽明学や儒学と聞くと、とても難しそうですが、この5つの教えは誰にでもわかりやすく、小さな子供でも実践できそうですね。

 

 

師匠
 

さよう、だからこそ明治時代の教科書に、中江藤樹の教えがたくさん採用されたのじゃ。

 

 

中江藤樹は、難しい書物を読んで頭に知識を詰め込むよりも、儒学や陽明学の書物に書いてあることを実践することを提唱したのですね。

 

 

 

「人は誰でも天から与えられた美しい心を持っている。

しかしそれを我欲によって曇らせてしまう」

 

本当にその通り。でも、中江藤樹はそれを防ぐために、とてもシンプルなメソッドを提唱してくれています。

 

①いつも和やかな顔でいること

②思いやりのある言葉で話しかける

③澄んだ目でものごとを見て

④人の話に耳を傾けて聞き

⑤まごころを持って相手を思う

⑥そして正直

⑤にまごころとありますが、①~④も結局、まごころで人に対せよということですね。
 

冒頭に紹介した、中江藤樹の道歌からは、心に曇りが生じてしまった人をなんとかして救いたいという決意が、ストレートに伝わってきます。

 

41歳と言う若さで亡くなった中江藤樹ですが、その教え「心学」は彼の門弟らによって全国に広がり、後の明治の世で教科書などにも取り上げられ、さらに日本中に広がっていったのです。

 

 

師匠
 

このような教えが明治時代の教科書に、採用され、日本中に広まっていったことが、日本人の道徳観を形成する大きな要因となったのであろう。

 


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