~頼もしかった子どもたち②~

 

 

真夜中なのに眠くないからずっと起きていられる

 

真夏なのに寒くてブルブル震えてしまう

 

生まれたときにいただいた命は自分のもので

 

70才、いや80才まできっとずっと生きているだろう

 

そんな考えなんか なんの保証もないのに気づかされた

 

命は突然 天にお返しすることがあるのかもしれないからだ

 

流れ星流れ星流れ星流れ星流れ星流れ星流れ星流れ星

 

夫はどうしているだろう 大丈夫だろうか

 

しばーらく待ったが、やっと先生から呼ばれた

 

予防接種予防接種予防接種

 

出血の原因は胃静脈瘤破裂による吐血だったこと

 

胃からピューピュー血が噴き出していたこと

 

血も半分くらい吐血してしまったので緊急に輸血したこと

 

などなどの話を聞きながら、何枚もの同意書にサインをしていく

 

迷うことはできない 先生にお願いするしかないのだ

 

予防接種予防接種予防接種予防接種予防接種予防接種

 

同意した消化管出血時の緊急内視鏡手術・・・

 

頑張って 

 

またしばーらく待って 再度 呼ばれたときは

 

『これからICUに入ります。数日が山場かもしれません』

 

山場!って死ぬってこともありえるんですか???

 

『そういうこともありえます

 

しかし、(お酒)どれくらい飲んだんですか?!』

 

『わかりませんが、かなり飲んだと思います・・・』

 

だって、本当にわからないんです

 

(外で飲まれちゃうと・・)

 

ショボーンショボーンショボーンショボーンショボーン

 

夫に会えると言われ、子どもと一緒に処置室に向かう

 

朦朧としている夫

 

顔のあちこちに血がついている

 

涙しか出なかった

 

まだ『だいじょーうぶ』なんて言ってる泣

 

子どもと二人で泣きながら「頑張って」というのが精一杯

 

看護師さんから手渡されたビニール袋の中身は

 

血だらけの夫が着ていた洋服だった

 

もうすでに6時半

 

病院の自動ドアを出ると丁度タクシーが来て

 

我々は帰路についた

 

リムジン前リムジン前リムジン前リムジン前リムジン前リムジン前リムジン前リムジン前

 

帰宅してみつけたもの

 

自宅待機をしていた子供たちが夫の吐いた血を掃除したのだろう

 

大きなビニール袋に

 

血が付いたバスタオル、タオル、シーツなどが入っていた

 

付き添った子供はシャワーを浴びにお風呂へ

 

扉を閉めると同時に大泣きしていた

 

私も 夫の吐血した部屋に行き

 

 子供たちが血をふき取ったあとを見た

 

子どもたちは 家具や窓、壁まで飛び散った血までは

 

気づかなかったのだろう

 

そんな残った血をふき取りながら

 

『死んじゃうのかな 死んじゃうのかな』

 

と 私もただただ泣いていた

 

 

 

(時系列の記憶が曖昧になりましたが その点ご理解下さい)