日本統治時代、1911年2月のこと。

 

台南の善化という場所に、

蘇水泉という男が住んでいました。

 

ある時、

彼の近所に住んでいた男性が、

首を吊りました。

 

幸い発見が早く、

すぐに救出された結果、

大事には至りませんでしたが。

 

周囲の人々は無論の事、

その当人ですら、

 

何故首つりなどをしたのか、

その理由を説明出来ず。

 

人々は、

ひどく不思議に思いました。

 

その二日後の事。

 

蘇水泉は、薪を拾うために、

その首つりをした男性と共に、

出かけようとしました。

 

しかし、家を出る直前に。

蘇水泉の妻が、

ポツリと言ったのです。

 

「うちの人も、

憑りつかれなければいいけど…」

 

その時横にいた女の子が、

これを聞き、言ったのです。

 

「本当にそうよ、

憑りつくなら私に憑りついて!」

 

恐らくそれは、

冗談だったのでしょうが。

 

 

その30分後。

人々は、発見してしまうのです。

 

12歳のその少女が、

庭の片隅で首を吊っているのを。

 

既に彼女はこと切れていました。

 

駆け付けた医師は、

その様子を見て茫然とします。

 

彼女の足は、

両方とも地面についたまま。

 

片足などは、

膝がついているのです。

 

それなのに。

 

少女は、

首つりを果たし、

死んでいたのでした。