白曉燕は殺され、
犯人は逃走中。
台湾じゅうが不安に陥る中。
警察は懸命の捜索を続けます。
5月24日、
陳進興の義理の弟である張志輝を、
犯人隠避、逃走援助の容疑で逮捕。
三人に食料を届けていたという彼の証言から、
警察は工場内のある部屋を襲撃しますが、
既に三人は逃走済み、
何も得られず、引き揚げることになります。
しかし5月28日、
なんと、三人の犯人から、警察に手紙が届きます。
そこには、
既に犯人隠避・逃走援助の罪で逮捕されていた、
陳進興の妻・張素貞と、その弟・張志輝らに関して、
彼らは犯罪と無関係であり、
釈放して欲しい、
という要求が、
三人の拇印と共に記されていました。
無論、警察はそれを拒否。
6月6日、
陳進興の中学の先輩であり、
県会議員である蔡明堂が、
地下駐車場で陳進興らの襲撃を受けます。
蔡明堂は拳銃を押し付けられながら、
助けてくれるなら、
500万元(約1800万円)を払う、と伝えつつ。
銀行に連絡し、それだけのお金を準備させます。
強盗目的でしかなかった陳進興らは、
思わぬ事態に驚きながらも、
蔡明堂を連れて銀行に行き、
無事に500万元を獲得しました。
さらに8月8日には、
陳という貿易商を襲撃、
これからも同様に500万元を獲得します。
こうして、
都合1000万元もの大金を手に入れた、
彼らですが。
順調だったのも、ここまで。
8月11日、陳進興が、
ついに警察に発見されるのです。
その日陳進興は、
一人で台北市内のアパートの三階に侵入。
中にいた女性三人に襲い掛かりますが。
一人の女性が、隙を見て大声で助けを求めます。
たまたま近くにいた警察官・張瑞栄が、
悲鳴を聞いて現場に駆け付け、
三階まで上がり、
部屋のインターホンを鳴らしたところ、
扉が開き。
中から、銃を構えた陳進興が現れます。
驚愕する張瑞栄に向かい、陳進興は、
持っている拳銃を渡すよう、要求します。
張瑞栄は、それに応じず。
一分ほどのにらみ合いが続きますが。
陳進興は、
このまま時間を稼がれている内に、
警察の応援が来てしまってはまずい、と考え。
張瑞栄に銃口を向けたまま、
階段を降り始めます。
そして、陳進興が階段の角に差し掛かった瞬間。
張瑞栄は、手に持っていたヘルメットを、
陳進興に投げつけると同時に、
自分の拳銃を抜こうとしますが。
その瞬間、陳進興が発砲。
5発の銃弾が放たれ、
そのうち一発が張瑞栄の右手の人差し指をもぎ取り。
体にも、二発が命中してしまいます。
それでも。
張瑞栄は痛みと出血に耐えつつ、
4発を発射。
しかし、その一発も当たらない。
それでも張瑞栄は、
空になった弾倉に新たな銃弾を詰め始める。
それを見た陳進興は、
それ以上の銃撃を諦め、
振り返って階段を駆け下り。
通りがかったバイクを奪い取り、
そのまま逃走したのでした。
幸い、銃撃を受けた張瑞栄は、命に別状なく、
三人の女性も無事ではあったのですが。
折角発見した陳進興を、
取り逃すという失態を犯した警察は。
この事件を、
三人の女性と一人の男性の、
お金がらみの喧嘩であった、
と発表したのですが。
数日後、その隠蔽が発覚。
警察署長が辞任を余儀なくされることとなったのでした。
かくして、
小さな銃撃戦を経ながらも、
間一髪のところを逃れた陳進興ですが。
それでも、。
その8日後の、8月19日。
大規模な銃撃戦が発生。
彼らは、仲間の一人を失うこととなるのです。