殺された妻に、多額の保険金がかかっていた。
しかもその受取人である夫は、多額の借金を背負っていた。
明らかに疑わしい夫ですが、しっかりとしたアリバイがある。
夫への疑惑を一旦保留にした警察は、
殺される前の妻の足取りを追い始めます。
そして、彼女の携帯電話の通信履歴、発信場所を探ったところ。
一つの事実が判明します。
殺された前日である10月12日、さらにはその三日前の9日も、
彼女は、自身の殺された場所――大園を訪れているのです。
しかも、12日には、彼女はその場所で、
午後10時から午前1時までの、三時間も停車している。
この奇妙な行動に対して、警察は興味を持ち、
さらに詳しく調べたところ。
9日、彼女と同じ場所で携帯電話を使用していた、
一人の関係者が発見されます。
――彼女の、兄。
人気のない場所です。
二人が会っていたことは間違いない。
早速兄に尋ねたところ。
彼は、10月9日は妹と一緒に大園に海鮮を買いに行った、と証言するのです。
しかし、警察が調査したところ、
彼は確かに大園にて海鮮を購入していましたが、それは12日の話。
明らかに嘘をついています。
そこで、彼らの9日の行動をさらに調査をしたところ。
とあるモノレールの駅の監視カメラに、
10日午前二時ころに現れた、
兄妹の姿が確認されました。
しかも、そこにいたのは、二人だけではない。
もう一人、大柄な男性がいた。
三人は、一時間余り何かを話しあっているよう。
その男性の素性を調べたところ、すぐに判明したのです。
施という名の、かつて銃の不法所持で逮捕された前科がある男。
無論、ヤクザの一味です。
そして警察が、この施という男性の行動を追ったところ。
13日に、明確なアリバイがない上に。
妻の兄から、
50万元(約180万円)ものお金を受け取っていたことが判明しました。
妻の兄はこれを、
精神的に追い詰められていた妹に、
カウンセリングしてもらった、
そのお礼だと主張しますが。
無論、警察がその主張を聞き入れる筈もなく。
この兄と施は、重要参考人として、警察へと連行されます。
さらに数日遅れて、
夫もまた、警察へと連行。
そして、夫婦の子供の証言もあり。
ようやく
この事件の全貌が、明らかになったのでした。