こなもんや三度笠

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そば、うどん、パスタなどの粉モノが大好き‼

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 佐原に行ってみたいと思ったのは、先月観たこの映画「大河への道」がとても面白かったからです。同名の立川志の輔師匠の新作落語を映画化したものです。主演の中井貴一が演じる香取市役所(旧佐原市役所)の課長が特命を受けて地元・佐原の英雄・伊野忠孝の伝記を某国営テレビ局の大河ドラマにしようと孤軍奮闘する噺。日本の地図は1821年に「大日本沿海興地全図」伊野忠孝が作ったとされています。当時としては海外にも類を見ないほどの高精度で完成させました。ところが伊能忠敬は全図完成の3年前に死んでいた。誰がどうやってこの全図を完成させたのか・・・。このミステリーが志の輔落語の肝です。

 そして2023年の旅始(たびはじめ)に佐原行きの背中を押したのは、年末から茶そばなどの変わり蕎麦に興味を持ち、佐原名物「黒切り」の蕎麦を食べてみたいと思ったからです。黒切りについては後ほど説明します。

 目黒の自宅を出てから3時間。10時21分にようやく、JR成田線「佐原駅」に到着。

佐原駅から徒歩5分。1919年に佐原公園内に建立された伊野忠孝の銅像を見学。

 佐原は、〝北総の小江戸〟と呼ばれる水郷の街。市内を流れる小野川によって、江戸時代から利根川水運の中継基地として栄えました。

〝じゃあじゃあ橋〟と慕われる「とよはし(樋橋)」。小野川の東岸から対岸の水田に佐原村用水を送る為の大樋が橋の下に取り付けられ時折、ジャージャーと水がこぼれ落ちます。現在は休止。

伊野忠孝の旧宅の近くに建設された記念館。

忠孝が長男に宛てた書簡。深川の自宅を処分して八丁堀に移築するように指示しています。

 大分県佐伯市の「参考絵図」です。正確な測量を行なう前に大雑把なスケッチをしてこれを元に測量をします。たまたま母方の祖父の出身地・佐伯が写真撮影可能の展示室にあったのでパチリ📷

さて、今回もう一つの目的地「小堀屋本店」。蕎麦屋としての創業は1782年。蕎麦屋になる前は醤油醸造業。佐原市内でも有数の老舗です。この建物は、明治23年(1890年)に建築され千葉県の有形文化財。

これが小堀屋本店の名物料理〝黒切り〟。まるでイカ墨パスタのようですが、全く違います。

小堀屋本店には蕎麦の秘伝書が代々伝えられ蕎麦料理は全部で57種あるそうです。黒切りはその一つです。

「蕎麦の辞典(講談社学術文庫)」を編纂した新島繁によると

黒切りとは「『小堀屋秘伝書』に出てくる色物のめん。「こんぶ黒やきにして」とあるだけで(さらしな蕎麦に練り込む変わりそばなのかまたはそれ以外の粉を使うめんなのか、詳しい記載はない。「黒やき」は黒焼き。土製の容器などに入れて黒く蒸し焼きにすることで、薬用などに用いる。昆布切りの異称。」

どうも粉末にした昆布を蕎麦粉に練り込んだものであろうが、さらしな蕎麦の変わり蕎麦かははっきりしない。本日の昆布は日高昆布を使用。

この天ぷらを揚げたごま油も佐原で創業350年の大手企業「油茂製油」を使っています。

繰り返して言いますが、イカ墨では決してありません(笑)

恐らく、他にはない色を出すこと。新潟の十日町のへぎ(布海苔)そばや長野県の冨倉そばのオヤマボクチ(紙漉き原料)のように本来つながりにくい蕎麦粉を細く長く製麺するためのつなぎとして使ったものと想像します。

 

   水郷の黒きそば喰む初の旅   茄子