徒然なる会計誌

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投資損失引当金という個人的には中途半端だと感じる引当金がある。株式に対して引当金を計上するという考え方が金融商品会計基準には無いのと、そもそも本引当金が「計上できる」規定になっているからである。おそらく金融商品会計基準が導入された時に、それまで実務で行われていた会計処理の内、カバーできない範囲をこの基準で扱ったことにより、基準の文言がパッとしないものになってしまったのではないだろうか。


以下、基準上は以下の2つの場合に引当金を計上できるとしている。



① 子会社株式等の実質価額が著しく低下している状況には至っていないものの、実質価額がある程度低下したときに、健全性の観点から、これに対応して引当金を計上する場合
ただし、この場合には、実質価額の回復可能性が客観的に確実であるにもかかわらず引当金を計上する等、過度に保守的な会計処理とならないように留意する必要がある。


② 子会社株式等の実質価額が著しく低下したものの、会社はその回復可能性が見込めると判断して減損処理を行わなかったが、回復可能性の判断はあくまでも将来の予測に基づいて行われるものであり、その回復可能性の判断を万全に行うことは実務上困難なときがあることに鑑み、健全性の観点から、このリスクに備えて引当金を計上する場合
例えば、回復可能性の判断の根拠となる再建計画等が外部の要因に依存する度合いが高い場合等が挙げられる。


①については、そもそも減損の対象になっていない段階で過度に保守的にならないように引当計上するためには、相当程度減損すべき状態に近い状態であると考えられるが、実務上は実質価額が著しく低下している状態(取得価額に比べて50%程度以上低下)でなければ、引当計上するケースはほとんど無いのではないかと考えられる。監査法人もこのケースで計上を迫るケースは少ないのではないか。

②については本来であれば減損すべき状態にあるが、回復可能性のロジックを組み立てにくい場合に最後の手段としていくらかを引き当てるという方法に使われているように思われる。こちらも今の金融商品会計基準の考え方とはアンマッチなので新規で計上する例は少ないと思われるが、監査法人から減損を迫られた時は逃げの手段に使えるかもしれない。

いずれにせよ投資損失引当金の計上件数の推移を見ていると年々減少傾向にあるみたいなので、やはり昔の名残で残っているものが多いと考えられる。ロジックの組み立て方によっては、今計上しているものについて一括で戻しいれることも可能なのではないかと思う。

逆に実質価額が著しく低下し、回復可能性の根拠が弱い状態に至ったときは減損対象となってしまうのだが、その時は引当金の戻入益と減損損失とをネットさせる処理が一般的だと思われる。